まだ強くなれる自分がいる気がして、どこまで強くなれるか見てみたい
――東京オリンピックで金メダルを獲ったら、友香子さんは引退するんだろう、と思っていました。
私も東京が終わったらどうしようか、金メダルを獲ったらやめようと思っていました。でも終わってみたら、まだ強くなれる自分がいる気がして、どこまで強くなれるか見てみたい、と思ったんです。レスリングは息も上がるし、きつい競技ですけど、できるところまでやってみようと、そう思ったのが大きいですね。
――現役続行はそのまま「二連覇への期待」につながります。その重圧は感じませんか。
レスリングではオリンピックで連覇している人がいっぱいいます。私も当然期待されるでしょうけど、実際、連覇は難しい。リオ五輪の時、私はケガをしていてレスリングができていませんでした。そんな状態で、口では「次は自分が出ます」と言っていたけど、心の中では「無理だろうな」と思っていました。そのリオ五輪決勝で吉田沙保里さんが負けた。
私にとっては無縁の遠いオリンピックの舞台で、負けて謝っていた沙保里さんの姿がものすごく印象に残っている。たくさんの人たちにリスペクトされてて、本当にすごい選手なんだなと。
――負けても吉田沙保里は感動と衝撃を与えた……。
東京オリンピックでセコンドにも付いてくれたサントリーの金浜コーチが言ってくださったんです。「東京五輪で『姉妹で優勝』という結果を達成した。最高の結果を残した事実は、次の五輪の結果がどうあれ変わらない。だから、どこまでできるか挑戦しよう」と。
――そのとおりですね。新しい挑戦は決してマイナスにはならない。東京五輪のチャンピオンという事実は永遠に変わりませんからね。
レスリングは今しかできない、それも大きいですね。東京で金メダル獲得という目標を達成して、ストイックな生活から解放されて、違う日常をしばらく楽しみました。もう休憩を楽しむ時期は終わったので、今はまた以前と変わらず、練習を中心にした生活をしています。