買う人の多くは「DREAMERS」
そうしたJeepのコアバリューに虜にされる人の数は、販売台数の伸びが示すように年々増えています。また、特にJeepで特徴的なのが購入者の平均年齢が非常に若いこと。2021年の国内のSUV購入者の平均年齢が49歳であるのに対し、Jeepは42歳と、若いうちからクルマがある楽しい生活を送っている人が多いのです。
「最近は若年層のクルマ離れが叫ばれますが、Jeepに関しては若い人、中でもアクティブファミリーやカップル層に多くご購入いただいています。ドライブやキャンプ、フェスといったアウトドア系の趣味をお持ちの方とJeepは相性が良いことに加え、中古市場が活況であることも理由です。WRANGLERの場合は購入後3年の想定価値は80%くらい残ると言われるように評価額が落ちにくいため、残価設定ローンを組むことで毎月の支払い額を抑えられるのです」 (Stellantisジャパン・新海氏)
Jeepの販売台数のうち4割超を占めるのはWRANGLERだそうですが、近年では2015年秋に登場したRENEGADEが大ヒット。それまでの「大型・大排気量」のイメージを覆し、そのポップでコンパクトなデザインが女性や街乗りがメインの人の心を掴みました。
また、2018年に本国アメリカで発表され、日本では2021年11月に受注開始したピックアップトラック「GLADIATOR」は、全長5.6mあるその大きさから日本市場での展開を社内で不安視する声もあったそうですが、蓋を開けてみるとファンやオーナーからの支持の声 は大きく、発売前に約500台もの受注があったといいます。
「昔のJeepは、アメリカ好きの年配の男性や、冒険家、登山家などがWRANGLERの『TJ』や『YJ』に乗っているというイメージがありましたが、今はまったく違います。現在の購入者の圧倒的多数を占めるのは『DREAMERS(ドリーマー)』です。普段は家庭や仕事に時間的に拘束されながらも、わずかな時間の中で、積極的に冒険や旅、アウトドア、アクティブスポーツに取り組む。そして、そういった理想や夢 を実現しようという希望のもと、こだわりの道具として、Jeepを選ばれるのです」(Stellantisジャパン・新海氏)
そして、Jeep Japanはそうしたドリーマーに対して、ほかのブランドにはあまり見られない独自の取り組みを積極的に行っています。
たとえば、冒頭で述べたJeep Waveは単なるハンドサインを示すだけでなく、実はJeepが展開しているカスタマーケアサービスの名称でもあります。安心の3年間無償サポート等のカーケアサービスに加え、「Real」というキーワードにこだわり、オーナーを対象としたキャンプイベントやフォトコンテストなどを定期的に開催。
また、著名人を起用した派手な宣伝をするのではなく、オーナー1人1人のJeepのある生活を紹介する「Real People」や、自由、冒険、本物をテーマにしたライフスタイル・ウェブマガジンの「Real Style by JEEP」、『National Geographic』と組んで日本の知られざる美しい場所を紹介する広告企画「Real Tabi with Jeep」など、Jeepの世界観とオーナーを大切にした"偽りのない"活動を展開しています。
こうした取り組みが奏功して、2021年度のアンケートでは実に56%ものオーナーが「次もJeepに乗り換える」と回答。オーナーロイヤリティを高めることに成功したほか、そうした人がSNSなどでJeepのことをつぶやくことでオーガニックなプロモーションにつなげています。