オーナーの心を掴むJeepの文化

なぜJeepにはこのような独特のカルチャーが根付いているのか。それは、私を含めたオーナーがほかのクルマにはない唯一無二の魅力をJeepに感じ、そして時には過剰と言われるほど愛しているからに違いありません。だからこそ、そうしたJeepへの強い愛着が、同じ仲間を見つけたときのWaveへとつながるのです。「僕もJeep、君もJeep、お互いわかってるね」といった感じに。

「Jeep Waveのように、Jeepには面白いと思ってもらえる歴史や文化、そしてサブカルチャーがたくさんあります。それが国産ブランドとも輸入ブランドとも違う、Jeepだけのアイコニックな魅力なんです」(Stellantisジャパン・新海氏)

たとえば、Jeepという名前の由来もその1つ。初代のJeep Willysは四輪駆動の偵察車両としてタイヤが1つ外れても約50km走るよう設計されていたり、ボンネットを改良すると負傷兵を運んだり、大砲をひっぱたりなどできる機動性の高さを持ち合わせていたため、「GP(General Purpose)」(「多目的な用途に使える車」という意味)と呼ばれ、それをもじった隠語としてJeepと呼ばれたと言われます。

また、時代を経ても変わらないデザインもそう。

「JeepのDNAとして長年踏襲されているものがあります。1つは、フロントに縦に刻まれる『セブンスロットグリル』。登場時は9本でしたが、民間用として生産されたシビリアン・ジープからはずっと7本です。また、もう1つの象徴である『台形ホイールアーチ』。台形のほうが隙間があるので雪などが入ったときの操作性が良く、タイヤ交換やメンテナンス、修理をしやすいというメリットがあります」(Stellantisジャパン・新海氏)

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セブンスロットグリルや台形ホイールアーチは、JeepのDNAとして今も変わらない

WRANGLERでいえば、丸いヘッドライトや外ヒンジのボンネットをはじめ、取り外せる屋根やドア、ノーマルのままだと剥き出しの給油口のキャップ、「トラクション」「渡河性能」「機動性」「アーティキュレーション」「地上高」といった各性能がアメリカ本社のオフロード基準を満たすことを示した「Trail Rated」というマーク(Jeepの四駆モデルにはすべてついている)などもそうでしょう。

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Jeepの大きな特徴であるのが、悪路の走破性能。Jeepの中でも特に優れた4×4性能を持つモデルには「Trail Rated」のバッジがつけられる

ちなみに、私の乗るWRANGLERのひと世代前のモデル「JK」(現在は「JL」)では、フロントガラスの片隅に山を登るWRANGLERのイラストがお茶目につけられていたり、乗車席のドリンクカップの下にさりげなく丸いヘッドライトとセブンスロットグリルが刻印されていたり、取扱書や車検証ケースが迷彩柄だったり…。そんな小さな遊び心にも、グッと心を持っていかれます。

「Jeepにはいつになっても変わらない世界共通のコアバリューがあります。それは『Freedom(自由)』(地球を楽しむ。どこにでも行ける。なんでもできる。)、『Authenticity(本物)』(オリジナル4×4ブランドとしての誇りと自信)、『Adventure(冒険)』(冒険とは発見。非日常の体験で見つける新しい自分)『Passion(情熱)』(内なる力を呼び覚まし前進させる)です。こうした明確なバリューを持っているブランドは、あまりないのではないでしょうか」 (Stellantisジャパン・新海氏)

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筆者の乗る旧WRANGLER「JK」モデルでは、フロントガラス部分に遊び心溢れるイラストが描かれている
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乗車席の間にあるドリンクカップの下にも、WRANGELRの象徴でもある丸いヘッドライトとセブンスロットグリルのアイコンが