メンタルケアし合える社会に

今年の6月、不登校の子どもを持つ親のコミュニティ「親コミュ」を立ち上げた。メッセンジャーアプリのLINE WORKSを利用して24時間365日チャットができる、親のための居場所。孤立させない環境をつくるためのコミュニティ運営と情報発信に尽力したい考えからだ。

「我々の想定以上の100名がすでに集まっています。実際に『夏休み明けの登校日が始まったけれど子どもが苦しそうだ』と打ち明けているお母さんもいて。リアルタイムでつながって、『大丈夫だよ』や『心配だね』と声をかけ合える環境づくりができた意義を感じます。不登校は地域差がなく、人口比率と比例しています。ということは、人口が少ない地域には不登校が一人しかいないということがあり得る。離島でただ一人の不登校だと言われてプレッシャーを感じていた方が、こういう場があってうれしかったと言ってくださいました」

最後に、今後の野望を聞いた。

「日本中のメンタルケア能力を向上させたいです。例えば、『死にたい』と言っている人にちゃんと向き合うこと。茶化したりせずに、気持ちを聞く。精神的に苦しい人がいるのなら、本人の怠けや弱さに目を向けるのではなく周りの環境の整備を考える。単純なことですが、ケア能力を上げないと多くのことが救われないと思うんですね。苦しくなったら休むことや立ち止まることが必要だと伝えていきたいです」

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取材・文/高山かおり
編集/一ノ瀬 伸