自分の考えや行動に正義はあるか
――ビジネスシーンで不利な状況のとき、アンダードッグ効果をもたらすにはどうすればいいですか。
会社内でプロジェクトの企画案を上司と部下で競っている場合、まず部下には勝ち目がないと予想されます。ただ、部下の普段の真面目な姿勢や、プロジェクトに対する熱意、努力が周囲に伝わると、そのときには負けたとしても、応援団を獲得することができるでしょう。やがて上司もその応援団に入ってくれるかもしれません。
大手企業と中小メーカーや下町工場が、クライアントに企画提案で競合する場合でも同じことが言えるでしょう。
――アンダードッグ効果を活用する具体策はありますか。
アンダードッグは「勝てそうにない」状況にあることが前提なので、自ら目指すものではありません。「不利な状況に置かれても、一生懸命に取り組んできた結果、いつしか支持が集まっていた」という結果がアンダードッグ効果です。自然に人を引き寄せることになるのです。
その効果は狙って得られるものではありません。むしろ、狙うと逆効果です。判官びいきをしてくれそうだった人々に見放されたり、敵に回られたりするかもしれません。
もちろん、ただ「負けそうだ」「不利だ」というだけでは誰も応援してくれません。対戦の過程で「周囲の人に熱意や奮闘ぶりが伝わること」「ひたむきで情熱があること」。そこがポイントです。
――そうした不利な局面では、どのようなことを心がけるべきでしょうか。
まずは自分とその状況を俯瞰(ふかん)する、置かれている状況の全体像を見つめてみましょう。不利であっても考えや行動に正義を持ち、なんとか乗り越えようという姿勢を持てているかどうか。苦しい局面でも、その姿勢を持つことが重要です。トライ&エラーを実践するうちに、「打たれ強さ」が身についてくるでしょう。