見どころ1:「静」と「動」の2つの視点から紐解くアリス

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本展覧会には、『不思議の国のアリス』の小説の初版に掲載されているジョン・テニエルの希少な挿絵をはじめ、さまざまな作品に登場するキャラクターやアリスの世界観を深く理解できる資料が約300点集められている。

例えば、原作の第3章に登場する現実世界では絶滅した「ドードー鳥」の複合骨格や、キャロルがキャラクターを創作する際にもとにしたアリクィスの「ハンプティ・ダンプティのじゃばら絵」など。

キャロルが着想を得たアイテムから、物語の世界をより深く知るためのヒントを得ることができるのだ。

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アリスと言えば物語はもちろん、挿絵が単独で販売されるほど各キャラクターの可愛らしさ、ユニークさが人気を呼び、現在でもさまざまな形で商品化が進められている。

20世紀前半のアリスブームの際もキャラクターを起用した商品は多数発売されたそうで、その当時のグッズも展示されていた。100年も前からアリスのグッズ化が始まっていただなんて、改めて、その歴史の長さに驚かされる。

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100年前に人気のアイテムは、アリスがプリントされたカードやお菓子の缶、木製のフィギュアなど

また、グッズや挿絵など、静止画を中心とした資料だけではない。ストップモーションを取り入れたヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』や、大ヒットを記録したティム・バートンによる『アリス・イン・ワンダーランド』シリーズなど、映像作品による展示も楽しむことができる。

特に現代の日本における映像作品の展示では、アリスをモチーフとしたアニメやゲームがこんなにあるのかということは非常に興味深かった。

今でこそ当たり前のように世界中で「アリス」という1つのジャンルが確立されているが、時代の流れとともに改めて振り返ると、新しい発見もあるということだ。

「静」と「動」2つの視点からアリスの世界を紐解いていけるのは、各国から集められた希少な資料が豊富な同展だからこそだと感じた。

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