海外では「放送」自体もサービスに取り込み

そんなYouTubeも、国によって使い方は違うし、使えるサービスも違うのはご存じだろうか。

アメリカでは以前より「YouTube TV」というサービスが展開されている。TV、といってもテレビでYouTubeを見る、という話ではなく、逆の話だ。放送波やケーブルTV網で配信されているテレビ番組を、インターネットを経由してPCやスマホから、好きな時に好きな場所で見られるようにできるものだ。利用料金は毎月64ドルと、安価ではなく、日本からは利用できない。

以下の画像は18年にアメリカで筆者が試した時のものだ。今は操作画面が変わっているが、機能は変わっていない。テレビの番組表に見えるが、実はこれ、このまま「録画されている番組リスト」でもある。いや、「録画されているかのように、好きな時に見られる番組」と言った方が正確だろう。

ガーシーが「議席獲得」。テレビ1局を超えるYouTubeの影響力_4
18年の時点での、アメリカでの「YouTube TV」利用画面。YouTubeの画面デザインで「テレビ番組」が、PC/スマホ/テレビで視聴可能になる
ガーシーが「議席獲得」。テレビ1局を超えるYouTubeの影響力_5
「YouTube TV」のホーム画面。ユーザーの視聴傾向を分析してお勧め番組を提案してくる
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すなわち、利用料金を支払う必要はあるにしろ、YouTubeに投稿された映像と、テレビ局から配信される映像とが完全にひとつの枠の中で、同一に扱われるようになっているのである。より多機能で、ネット動画視聴に慣れた人には馴染みやすい。

前述のように有料であるため、まだ大多数の人が使うサービスではない。だが、もはや「放送と個人コンテンツの垣根」は薄くなっている。アメリカには「ドナルド・トランプ」という実例があったが、日本も例外ではないことが、今回の参院選で示された。政治でも他の領域でも、今後も同じような形で、過激に注目を集めるためにYouTubeが利用され続けるだろう。

取材・文/西田宗千佳