影響を受けているのは「若者」だけではない

もう一つ別の調査も示そう。以下の画像は、NHK放送文化研究所が公開している「メディア利用の生活時間調査」というウェブサイトを使ったものだ。このサイトでは、21年の調査をもとに、人々がどのようなメディアと機器を活用しているかを分析できる。実際にウェブ上で、集計対象を変えながら比較できるので、ご自身でも試してみることをお勧めする。

ここでは、20代と50代の男女を例に、同じ「日曜日の21時頃」の行動をピックアップしてみた。グラフの示す「メディアへの接触の形」は、年代で大きく違っている。

ガーシーが「議席獲得」。テレビ1局を超えるYouTubeの影響力_2
日曜日の20代男性(左)と50代男性のメディア接触を比較した。20代男性は「スマホ・携帯」がもっとも多く、その中でも「動画」(棒グラフの茶色の部分)が50代男性より多い
ガーシーが「議席獲得」。テレビ1局を超えるYouTubeの影響力_3
同じく、日曜日の20代女性(左)と50代女性のメディア接触を比較したもの。20代女性も「テレビ画面」より「スマホ・携帯」の接触時間が長く、その中でも「動画」(茶色の部分)を見ている割合が50代女性より圧倒的に大きい

テレビ離れ、といわれるが、さすがにこの時間帯は20代も50代も、テレビの利用率は高い。一方で、20代はスマホ・携帯電話の利用率も高くなっている。これは、テレビとスマホが同時に使われている時間も多いことを示唆している。

注目は茶色の「動画」視聴の割合だ。

20代女性によるスマホでの視聴が目立つが、注目すべきは、20代であっても50代であっても、それなりの数の人々が「テレビのゴールデンタイムにネット動画を視聴している」という点である。ネット動画は若者に対して、より影響力が強いのは事実だが、50代でもある種、基本的な視聴行動として定着しているのがわかる。

ここでいう動画視聴はYouTubeだけではなく、Netflixなども含まれる。だが、前出・MMD研究所の同じレポートに含まれるデータによれば、有料映像配信の利用経験者は全体の6割で、未経験者がまだかなりいる。視聴している動画として、YouTubeが占める割合は非常に高い、と考えて差し支えないだろう。