テレビの中でも放送局1局を超える影響力
もう一つ、ここで着目してほしいのは「テレビでネット動画を見ている」という人々の割合が、無視できない数になっていることだ。ピックアップしたグラフでも、ゲームや録画視聴に並ぶ比率になっている。
別の調査も示そう。
21年11月、マクロミルが行った調査によると、テレビのネット接続率は41.8%で、YouTube利用者の3人に1人がテレビから視聴した、ということになる。
また、筆者が国内で大きなシェアを持つテレビメーカー・TVS REGZAに21年に取材した時、彼らの内部データでは以下のようになっている、と話していた。
「各家庭のテレビ利用履歴を集計すると、1日の動画配信視聴は平均1.5時間に到達し、NHK1局の視聴時間に近づいている。その中でも圧倒的に使われているのはYouTubeであり、利用割合がずっと少なくなった形でAmazon Prime Video、次にNetflixなどがきます」(TVS REGZA関係者談)
すなわち、YouTubeの影響力は「テレビの中」だけでもテレビ局1局分に近くなっており、さらにスマホなどで、テレビの前にいない時間も接触している動画メディアになっている、ということだ。
自分が興味を持った映像を選んで視聴する、というYouTubeのメディア特性上、視聴時間の大半が「自分が気になったもの」で占められる可能性は高い。そうした部分で「人気YouTuber」として刺激的な主張を繰り返すことは、テレビに出続けること以上の影響力を持つ、と推察できるわけだ。