アカデミー賞受賞の坂口亮がVFXを担当

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VFXスーパーバイザーを務める坂口亮
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去る7月8日に東京・東宝スタジオで行われたNetflixのイベント「Netflix Studio Day」では、全国各地でのロケ撮影および東宝スタジオで大規模な撮影が行われていることが明かされた。また、当日はハリウッドVFX業界で20年以上にわたる経歴を持ち、第80回アカデミー賞において科学技術賞を受賞した坂口亮が、インタビュー動画「作品を最大化するCG技術」で『幽☆遊☆白書』のVFXについて語った。

『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)や『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』(2007)などのハリウッド大作で活躍してきた坂口。現在は、北米がベースの「スキャンラインVFX」でVFXスーパーバイザーとCGディレクターを兼任している。『幽☆遊☆白書』への参加が決まったときの思いを次のように語った。

「日本で仕事の経験がなかったのですが、日本人として日本の作品に貢献したいとずっと思っていました。特に『幽☆遊☆白書』は、中学生ぐらいのときに読んで親しんでいた作品。Netflixが世界的な映像のクオリティを目指しているということで、日本との連合チームと共に、世界で1番の映像を作れる機会が来たと思い、すごく嬉しかったです」

さまざまな妖怪が登場し、人間対妖怪のバトルや変身もある本作は、VFXの観点からすると映像化の困難度は世界でもトップクラス。撮影は日本のスタッフと連携しているが、「日本の撮影方法と北米のスタイルの双方の良いところを組み合わせることで、初めて可能となる作品。今やっているのは、いかにして『幽☆遊☆白書』スタイルを確立するか」だと言う。

「北米流はもちろん万能ではありません。CGを使いすぎることがあったり、ありとあらゆることに対応できるようにすごく保険をかけた撮影をするので、無駄な部分もあります。一方で、役割分担がきっちり決まっているので人数も予算も多く、期間も長い。そういう意味では、結構フレキシブルに動けるようなシステムや環境でやっています。今回はスキャンラインが参加してるからといって、北米の方法でやれば撮影できるかというと、そういうわけではないんですね。北米だけでも日本だけでもできない、『幽☆遊☆白書』という作品だからこそできる方法論を、日々考えながらやっています」

前例がないことに挑戦しているため、ひとつひとつが手探り状態。だが、「そこが面白いとも思っている」と坂口は語る。今回のNetflixイベントでは、撮影現場を見学することができた。現時点で公開可能な情報はほぼないが、そのスケールの大きさと新たな試みの数々は圧巻。どのような映像世界になるのか、期待は膨らむばかりだ。

取材・文/今祥枝

Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」
原作:冨樫義博「幽☆遊☆白書」(ジャンプ・コミックス刊)
監督:月川翔
出演:北村匠海、志尊淳、本郷奏多、上杉柊平
脚本:三嶋龍朗
VFXスーパーバイザー:坂口亮(Scanline VFX)
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆(Netflix コンテンツ部門バイス・プレジデント)
プロデューサー:森井輝
制作プロダクション:ROBOT
企画・製作:Netflix
配信:2023年12月、Netflixにて全世界同時配信予定