官邸報道室から、さらなる“後出し条件”が……
2012年12月に自民党・第二次安倍政権が発足してからこの10年間にわたり、「新たに事前登録が認められたフリーランス記者は0名」という、世界に類を見ない、日本の総理大臣記者会見の異常な閉鎖性については、前回記事「なぜ君は総理会見に参加できないのか? 「報道自由度71位」という日本の異常な現実」(2022年5月31日)に記した通り。
あらためて、フリーランス記者が総理大臣記者会見に参加・質問するには、通過すべき4つの関門(①事前登録→②抽選→③参加→④質問)があるのだが、前回記事の掲載によって筆者は晴れて「事前登録」の条件を満たし、今回はそれ以降の流れについてリポートする……はずであった。
ところが、官邸報道室から再び後出しで事前登録の条件が追加され、筆者はまだ条件を満たしていないことが判明した。一体どういうことなのか? まずは前回記事でもお伝えした、登録に必要な条件を振り返る。
・直近3ヶ月以内に協会(日本専門新聞協会、日本雑誌協会、日本インターネット報道協会、日本新聞協会)の加盟社が発行する定期的刊行物等に総理や官邸の動向を報道する署名記事を掲載
・上記記事を掲載した加盟社または媒体の編集者からの推薦状を提出
出典:官邸報道室から筆者への参加条件を連絡するメール(2022年4月28日 発信)を筆者が要約
このうち、署名記事は「直近3ヶ月」かつ「総理や官邸の動向を報道する内容に限る」こと、「推薦状も必要」であることは、官邸報道室の担当者とやり取りを重ねる中で明らかになった内容。つまり、後出しでされた条件だ。
これらを踏まえ、筆者は「総理や官邸の動向」に関係する前回記事を、本年5月31日付で、日本雑誌協会の加盟社である集英社が運営する当サイトに寄稿。これによって今後3ヶ月間(8月末まで)は総理大臣記者会見の事前登録の条件を満たしていると解釈していた。
ただ、一方で小さな不安があったことも事実だ。前回記事でも伝えた通り、官邸報道室から参加条件を伝えるメールに添付されていた事前登録申込書に、気がかりな文言が含まれていたのだ。それは「直近3ヶ月以内に各月1つ以上記事等を掲載」というもの。
それまでのやり取りでは「直近3ヶ月以内に署名記事を掲載」だったはずが、この事前登録申込書には「直近3ヶ月以内に各月1つ以上記事等を掲載」となっているのだ。
総理大臣記者会見への参加が認められないフリーランスの記者にとって、「直近3ヵ月以内に1つ」ならともかく、「直近3ヶ月以内に各月1つ以上」「総理や官邸の動向を報道する」記事を掲載してもらうことは、容易ではない。
ただ、この条件について官邸報道室は筆者宛のメール本文で一切、言及していない上、タイトルが不正確(「内閣官房長官の定例記者会見」)な添付ファイルに記載された内容だけに、これを「正式な参加条件だ」と主張することはさすがにないだろうと筆者は心の底では楽観視していた。