耳のストレッチで血流促進
――気象病を自覚したら、自分の体調を見つめる必要がありますね。セルフケア法はありますか。
次の方法を試してください。
持病がある場合は治療をする
医師に「気圧の変化が大きいときは、持病が一層、つらい」ということを伝えてください。
耳閉感、耳痛がするときは、あくびをする、唾液を飲み込む、飴をなめる、「耳抜き」を試す
一時的に改善することがあります。
天気予報を活用する
1週間先までチェックし、仕事や生活の予定を調整しましょう。天気予報の「ウェザーニュース」や、スマホのアプリ「頭痛―る」では、先々まで気圧の変化を予報し、通知する機能もあります。
気象病(体調)日誌をつける
不調の状態と、天気、気温、気圧を手帳やスマホのカレンダーなどに記録してください。先ほどの天気予報サイトやアプリにも、記録機能が備わっています。天気と体調の傾向が把握できて、受診時の参考にもなります。
耳をはじめ、全身のストレッチをする
血流促進が目的です。耳は、耳たぶを指でつまんで軽く後ろへ回す、耳の中央部を持って後ろへ回す、耳の上下を持って軽く折りたたむなどをしましょう。力を入れずに、そっと行うことがコツです。
また、全身のストレッチとしては、両方の肩を後ろへ回す、肩をすくめるように上へぎゅっと持ち上げてからすとんと落とす、左右の首筋を伸ばす、ひざと脚の後ろ側を伸ばす、腰を回すなど、各5~10回を1セットとして、1日に3セットを実践してください。
気圧の急低下が見込まれる前に鎮痛剤、酔い止めの薬を飲む。
症状が出現してからではなく、前線や台風が近づく前に飲むことが予防のコツです。用法用量を守ってください。
漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」や「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」なども体質に合えば選択肢となりますが、漢方薬を試したい場合は、漢方専門医を受診して相談しましょう。
日ごろからこまめに水分を、発汗時は塩分も補給する。
日ごろから水分を適宜補給しましょう。ただし、夏やスポーツ時など発汗が多いときは体内のナトリウムが排出されるので、塩分(ナトリウム)の補給も必要です。スポーツドリンクや梅干し、熱中症対策用の塩飴などを活用してください。
屋内ではエアコンを活用しながら、体を冷やしすぎない
冷えると代謝や血流が悪化します。エアコンによる冷えやシャワーだけの入浴で済ませることは避けてください。
充実した睡眠、栄養バランスが整った食事、軽い運動を習慣にする
自律神経のバランスの安定に働きます。
――ありがとうございました。
つらい頭痛や耳痛、憂うつ感の原因のひとつとして、天候の変化による耳への影響や自律神経のバランスの崩れが挙げられるということでした。まずは、天候次第でこうした不調が起こりうること、その原因と自分でできる予防や対処法を知っておき、改善を目指したいものです。
構成・文 藤井 空/ユンブル イラスト/PIXTA