ダークファンタジーの金字塔
「ダークファンタジー」という言葉がある。暗黒の世界で起こる悲劇、残酷な描写や重苦しく悲劇的な展開、過激な性行為などが描かれるジャンルだ。
「ベルセルク」の主人公のガッツは、中世の戦場で死んだ母親の骸の中から産まれ落ち、たまたま通りかかった傭兵団に拾われて育った。過酷な戦場の中で幼いころから生きてきたが、ある日、育ての親を殺してしまい傭兵団を脱走。たった一人で傭兵として渡り歩くうちに、鷹の団団長のグリフィスに目を付けられ、決闘の末入団する。
やがて切り込み隊長として武勲を上げ、かけがえのない友人とも出会い、充実した兵士としての時を送るガッツ。
だが、ある時グリフィスが王女に向かって「決して人の夢にすがったりしない、誰にも強いられることなく、自分の生きる理由は自ら定め進んでいく者。(中略)私にとって友とは、そんな“対等の者”だと思っています」という言葉を聞いてショックを受ける。
所詮自分はグリフィスの兵でしかない。対等の者でありたいと思ったガッツは、再びグリフィスとの決闘ののち、鷹の団を抜ける。
グリフィスはガッツが抜けたショックから王女と姦通、それを知った国王は激怒し体中を切り刻む拷問を行った。その後戻ってきたガッツと鷹の団によってグリフィスは救出されるが、グリフィスの体は人間の体をなしてなかった。そこに魔物たちの饗宴である「蝕」がやってきた。
もし自分を信じてついてきた鷹の団の命を生贄に捧げれば最強の「ゴッド・ハンド」になれるという問いかけに、深い葛藤を通してグリフィスは「捧げる」と答える。
そこから異形の怪物たちによる鷹の団に対する絶望的な殺戮と捕食が始まった。その蝕に最期まで抗いながら奇跡的に脱出したガッツは、その後、身の丈を超える大剣を帯びゴッド・ハンドとなったグリフィスに対する復讐の旅を続けるのだった。