圧倒的な画力と構想力

2021年5月20日、漫画界に激震が走った。

「ベルセルク」の作者・三浦健太郎が5月6日に急逝したというのである。死因は急性大動脈剥離。54歳の若さであった。「ベルセルク」の発売部数は、この時点で公称5000万部を超えていた。

三浦の天才性は、何よりその圧倒的な画力にあった。近作を読んでもらえばわかるが、その暴力性、狂気、そして緻密な描写は、彼が影響を受けた「北斗の拳」「バイオレンスジャック」をも越えていたと筆者は思う。

雄大な構想力やちょっとしたエピソードづくりのうまさまで、その才能を数えていったらきりがない。また、ストーリーでは小説家の栗本薫から深い影響を受けていた。

連載再開「ベルセルク」の作者・三浦健太郎が追い込まれた天才漫画家の宿命_1

それもありこの作品は、著者急逝により未完になると誰もが思っていた。ところが2022年6月、「ベルセルク」を著者不在のまま、関係者だけで再開したのである。まさに異例の事態であった。

三浦の親友で、やはりマンガ家の森恒二が「ベルセルク」の最終回までの物語を本人から聞いていたことが最大のキーとなった。また、三浦自身が描いた構想メモやキャラクターデザインが見つかったことも大きいだろう。

これらを受けて、三浦のアシスタント集団であるスタジオ我画が漫画化をし、物語を紡ぎ続けることに。この発表はネットなどで大きな反響を巻き起こした。

それでは「ベルセルク」とはどんな漫画だったのか。そして、作者・三浦健太郎とはどんな人物だったのだろうか。