「亡くなっていたことを初めて知った」 背景には過去の事故が
Aは現場から数キロ離れた場所に住み、Bさんの遺族とは面識のない人物だったという。そのAが供述した動機も遺族には想像がつかないものだったようだ。
「数年前にAが運転する乗用車が原付に乗っていたBさんに追突する事故があったことが捜査で分かりました。Bさんは被害者ですが、離れて暮らす家族が心配すると思い、事故のことは家族に言わなかったようです。
当時、Aは警察に事故を通報せず、2人の間で示談が成立したとみられます。2人の接点はこれだけで、少額の示談金が動いたようですが、Aはこの時以来何らかの不満を持ち、Bさんを恨んでいたとみて、灘署は調べています」(同関係者)
しかし嫌がらせなら、なぜ生前ではなく亡くなってから始めたのか。実はAは、Bさんが亡くなっていたことを知らず、「逮捕後の調べで、Bさんが亡くなっていたことを初めて知ったと供述しています」(同)というのだ。
Bさんはもうすでに亡くなっていたのに、それを知らない容疑者はせっせと空き家に嫌がらせをしていたことになる。
さらに、事故のあと数年間はしなかった嫌がらせを始めたのは、Bさんが亡くなった後の変化が引き金になったとみられるという。
「Bさんが昨年9月に亡くなった後、普段家の前に駐車されていた車を遺族が処分しているんです。一方、家は無人になっても防犯のために電気がつけっぱなしにされていました。
車がなくなったことに気づいたAは、家には明かりはあるのでBさんがまだ暮らしているもののどこかに引っ越しでもするのではないかと思ったらしく、嫌がらせの実行に踏み切った疑いがあります」(同)
これが本当ならAは以前からBさんの家の様子をうかがっていた可能性も浮上する。事故の加害者からそのように監視されるとは、被害者にとってはたまったものではない。
結局、Bさんが亡くなった後に嫌がらせは実行に移された。「空振りみたいなことをしとったんやな」と近所の住民はあきれる。この住民は、Aが逮捕される数日前も玄関前に散っていたゴミを集めたという。
一方で「『ゴミ捨てなんかで警察は動いてくれへんやろ』という声も最初はありましたが、灘署が逮捕までして解決したので、“期待以上にようやってくれた”と喜ぶ声が地域で出ています」(捜査関係者)という。
Aは容疑を認めた後、釈放された。なぜこんなことをしたのか聞こうと自宅を訪ねたが、ドアの向こうで「今は何も申し上げることはありません」と繰り返すばかりだった。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













