摘発は「氷山の一角」…「会社ぐるみで相当数の物件で商習慣として行われている」
マンション管理組合の理事会において、工事提案ばかり受け「高いな」と感じるのは、工事が収益に直結するからだ。工事を廉価に抑えたい管理組合と、工事を増やし高額にしてリベートを増やしたい管理会社は、真っ向から利害が衝突する。お抱え業者ならボリュームディスカウントで安くなりそうなものが逆に高くなるのも、この商習慣の影響と考えられる。
この構造が大規模修繕にもあるという。
「大規模修繕は金額が大きく住民も慎重になるため、管理会社は公正さを“演出”する必要がある。そこで設計コンサルを“紹介”し、代わりに談合リベートの取り仕切り役を担ってもらうのです。管理会社は設計コンサルや場合によっては工事会社とも基本契約を結んでリベートを受け取る。これが大まかな図式です」(須藤氏)
つまり談合など不適切取引の裏にいるのは、管理組合に最も近く、工事の企画・発注を誘導できる管理会社と言える。
「参入したければリベートを払え」という川上の仕組みが改まらない限り、工事会社や設計コンサルをいくら責めても改善しない。逆に言えば、適正価格を知る管理会社が組合を適切に導いていれば、談合は起きようがないのだ。
「摘発は公取委のマンパワーの範囲で調べた分で、氷山の一角です。基本契約は担当者の裏金といったレベルではなく、手数料を払う側が損金処理するために会社代表者が署名し社判を押して結ぶ正式な業務契約です。これは税務署に経費と認めてもらう体裁が必要になるためです。会社ぐるみで相当数の物件で商習慣として行われていると考えるのが自然です」(須藤氏)
読売新聞は9月29日付で、管理会社が住民を誘導して工事を受注させ、見返りにリベートを得たケースを報道。産経新聞も8月の連載で、管理会社が業者の応札額に自社利益を上乗せして組合に示した「改ざん疑惑」、談合に応じない会社を低価格見積で排除した後に「資材高騰」を理由に再入札し価格を吊り上げる手口、そして旧財閥系管理会社の「基本契約」の存在を報じ、これは業界参入の「通行手形」と呼ばれていると伝えた。
須藤氏が続ける。
「管理会社はリベートを増やすため、積立金を多く貯めさせる必要がある。その算定根拠となる長期修繕計画を管理会社が作れば、高額な工事が過剰に組み込まれます。私は法的に必要な外壁検査をドローンを使った赤外線検査で済ませ、(大規模修繕は)18年周期を推奨しており、それで問題が出た物件を見たことがない。ところが管理会社の計画は12〜13年の短い周期と高額な費用なものが多い。『積立金不足』と言われるのは、そもそもこの側面から計画が過剰になっている面も強い。根拠の弱い高額な維持費は資産性も落とすので要注意です」













