「いまさら何いってんだ」という非難の声
「実効性のある政策を住宅マスタープランに盛り込んでいく」
小池百合子都知事は9月29日の都議会本会議で、住宅価格の高騰を踏まえ、投機的取引を抑制する方針をこう表明した。実需に基づかない投機的取引を抑えるため、都が関与する再開発などでの対応や、税制措置に関する国への働きかけを検討するという。
具体的な規制内容や導入時期を示したわけではないが、SNSには、この方針に対して、
「晴海フラッグの時にやれよ」
「晴海フラッグの時にやっていればまた違った世界になっていたと思うなー」
「やるならどう考えてもハルミフラッグ分譲時だったろうに」
「いまさら何いってんだ」
という投稿が相次いだ。
東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地を活用した晴海フラッグ。都が関与したこの大規模開発では、当時から投資目的の購入が問題視され、対策を求める声があった。
例えば、2019年9月のWedgeの記事は、初回販売の高倍率について、転売を狙う業者の購入が背景にあるのではないかという見方を紹介。販売担当者は、入居までの転売は禁止され、引渡しまで3年以上資金を寝かせる必要があることなどから、契約者の大半は実需ではないかと説明していた。あくまで「入居までの転売禁止」であり、引き渡し後の転売には制限が全くかけられていない。
投資購入の割合を実証した記事ではないが、販売初期から懸念が公に示されていたことは分かる。
その後も、2022年4月にはビジネスジャーナルが、家族や法人の名義を使った大量申込みに関する証言を紹介。2023年にはNHKや東京新聞が、転売目的の購入を防ぐ対策や、転売規制を設けない理由を取り上げた。
そして、懸念が繰り返し指摘される間に、抽選倍率は跳ね上がっていた。マンション相場が高騰していく中で、中央区の新築マンションとしては破格の安さだったからである。
2023年初めの販売では、平均71.1倍、最高266倍に到達。複数住戸に申し込める仕組みが、資金力のある法人や投資家に有利ではないかと問題になった。ようやく、その後のタワー棟の販売では1名義につき2戸までの申込制限と、同じ代表者による複数法人名義での申込みも受け付けない対策が導入された。しかし、「これでは不十分では」「転売禁止期間を契約に盛り込むべきでは」という指摘が相次いだ。
では、高倍率の抽選を経て、誰が購入したのか。
NHKは2024年5月27日、「サンビレッジ」の6棟、計1089戸の登記を調べた結果を報じた。未登記の10戸を除く1079戸のうち、法人名義は292戸。実に約27%、4戸に1戸を超える割合だった。
調査対象内で最多の38戸を所有していたのは福岡市の投資会社である。個人名義でも、最多で10戸を所有するケースがあったという。
法人所有がすべて短期転売目的とは限らない。ただ、一つの法人や個人が多数の住戸を取得していた実態は、住むために1戸を求める世帯との購入機会の公平性を考えるうえで、重い事実だ。











