買取再販事業者による「損切り」

右肩上がりの相場では多額の利益を上げることができたビジネスモデルだが、マンション相場が下落すると、途端に苦しくなる。

実際に住み続けながら住宅ローンを減らすことができる実需層と異なり、売れなかった場合、事業者は維持費を払い続けなければならないからだ。しかも35年の住宅ローンと異なり、事業用のプロジェクト融資は半年や1年といった期限が区切られている。

この期間内に物件を売却できなければ、高金利で借り換えるか、最悪、一括返済を求められることもある。

レバレッジをかけた取引が不動産相場の急落によって直撃するのは珍しい話ではない。2008年に発生したリーマンショック後には、融資の引き上げや在庫価格低下による債務超過によって多くの買取再販事業者が破綻することとなった。

「リーマンショックの記憶も薄れ、最近の上昇相場しか知らないままアクセルを踏んだ会社が増えていた」とB氏は語る。

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こうした状況下、現在不動産市場で起こっているのが、買取再販事業者による「損切り」だ。物件の仕入れ価格を下回る価格で販売し、傷が浅いうちに赤字を確定させようという動きが相次いでいる。

例えば、湾岸エリアではタワマンの部屋が売り出し価格から何度も販売価格を切り下げ、数ヶ月で数千万円の割引となっているような物件もある。港区の超高額物件では、割引幅が1億円を超えるケースもある。沈む船から逃げ出そうと、赤字覚悟で必死な様子が垣間見える。

SUUMOやホームズには載っていない、生の情報を

こうした物件は強気の価格交渉もやりやすい。前出の不動産仲介業者のA氏は「実需の物件に500万円、1000万円安くしろと言っても相手にされないが、買取再販事業者であればチャンスは大きい」と明かす。

購入したい物件の売主が個人か買取再販事業者であるかは仲介事業者に聞けば教えてくれることもあるが、自分で調べる方法もある。

住所や部屋の番号をもとに登記簿を取得すれば、売主がいつ物件を仕入れて、どの金融機関から融資を受けているのかがわかるのだ。また、企業名をもとに宅建業免許番号を調べることも可能だ。

買取再販事業者もピンキリだが、「免許番号が(1)や(2)といった若い番号である場合、まだ創業してから間もなく、資本力も乏しく売り急いでいる可能性がある」とA氏は語る。

登記簿はオンラインで取得が可能で、かかる費用はわずか330円。SUUMOやホームズには載っていない、生の情報を知るための経費と考えれば格安だろう。

買取再販事業者はマンション価格を引き上げた一因でもある。これまで指をくわえて相場上昇を眺めるしかなかった人々にとっても、不動産相場を押し上げてきたプロを出し抜くチャンスともいえるだろう。

文/築地コンフィデンシャル