「顧客の予算に価格下落のペースが追いついていない」

こうした状況が続いた結果、できるだけ高く売りたい売主と、できるだけ安く買いたい買い手側で目線に齟齬が生じ、現在の不動産市場の停滞ムードにつながっているという。

不動産売買を検討する人々にとって悩ましいのが、金融政策の動向だ。9月の利上げによって政策金利は31年ぶりの高水準となる1.25%まで上がった。販売価格はほとんど変わらないのにもかかわらず、金利分だけ月々の支払いは増えている。

例えば、1年前に金利0.5%の35年ローンで1億万円を借りた場合、月々の返済額は26万円弱だったが、1.25%になると約29万円超と、月々の支払いが3万4000円も増える計算となる。金融機関も融資を絞リ始めており、「顧客の予算に価格下落のペースが追いついていない」とA氏は語る。

写真はイメージです
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また、これだけ急ピッチでの利上げを続けているにも関わらず、インフレも円安も沈静化する気配はない。米国債の売却を懸念する米国の介入により、日銀の利上げは今後も続くと見られる。

利上げがどこまで続くのか読めない中、まだ売り手も買い手も様子見ムードを崩しておらず、「膠着状態がどこまで続くのか、現場からは全然読めない」(A氏)。

このタイミングでマンションの購入を考える人々にとって難しい時期とも言えるが、A氏は「狙い目の物件はある」と断言する。売り手が実需の一般人ではなく、不動産事業者が転売目的で仕入れた「買取再販物件」だ。

中小の不動産事業者の存在感が高まる買取再販物件

転売といえば聞こえは悪いが、中古マンションを不動産事業者が購入し、リフォームなど手を加えた上でバリューアップして一般人に向けて販売するというのは不動産業界ではよくあるビジネスだ。

カチタスやスター・マイカなど上場企業も存在し、近年は三菱地所や野村不動産など大手不動産デベロッパーも参入している。

しかし、近年の上昇相場に乗る形で、中小の不動産事業者の存在感が高まっていた。不動産系メディアで働く記者のB氏は「1億円の物件を仲介しても粗利は300万円程度だが、自分で仕入れて少し手を加えて高価で売れば利益が何倍にもなるので、こぞって参入するようになっていた」と話す。

SNS上での集客を得意とするスタートアップ企業やインフルエンサーなども参入し、過熱感が増していたという。