仕事における「ニワトリ卵問題」―執着が先か、結果が先か
「『言うは易すし、行うは難し』だよ」と、あなたは思っているだろうか。「ただでさえ手いっぱいなのに、高い水準を掲げるなんて難しいよ」。
今のあなたが面白くない仕事に縛られていたり、ねちねち嫌味を言う上司のもとで働いていたり、キャリアの行き止まりにぶつかっていたり、もしくは夢だったはずの仕事で無気力になっているならば、高い水準なんて考えたくもない状態かもしれない。必要最低限のことしかしたくない、手ごたえも成果もないんだからやる気なんか出るはずがない、と思っているかもしれない。
ニワトリと卵のジレンマだ。いったいどっちが先だろう?行き詰まった仕事では、つきぬけた成果への〈執着〉なんかできない。その一方で、〈執着〉してつきぬけた成果を出さなければ、もっとよい場所へ這い上がることもできない。
つきぬける、卓越する、優秀になるというのは、実のところ機械的なプロセスだ。ごちゃごちゃ考えるのはやめて、とにかく自分の仕事を徹底して行なうことだ。「どれくらいがんばらなくちゃいけないのか」と悩んでいると、メンタルが疲弊し、使えるエネルギーも減ってしまう。
だからシステムにしてしまえばいい。熱意が出ないなら、熱意ありげな行動を機械的に行なえばいい。
数字を伴う水準を達成するなら、習慣的にチェックリストを利用しよう。高度な技能を求められるプロの仕事なら、チェックリストを使うのが一般的だ。私は軽飛行機の操縦資格をもっているけれど、操縦は必ずチェックリストに頼る。飛行のあらゆる段階でリストを確認し、抜け落ちないようひとつずつ声に出す。「吸気混合比最大、計器オン、フラップ位置OK……」。
飛行中の私のことを子どもたちは不思議がる――「ママ、なんでずっと独り言言ってるの?」――けれど、チェックリストを使えば操縦技術がある程度は確実に担保される。見逃しやすい重要な手順をもらさない。外科医やパイロットにチェックリストが有効なら、あなただって、どんな動機であろうとチェックリストを使って一貫したレベルを確保できるはずだ。
私がグーグルで幹部になった時点で、チームでも、地域でも、プロダクトに関しても、私は新参者だった。私の下につく人たちのほうがずっと熟知していた。そんなときに私を奮い立たせたのが「まだできていないだけ」のキーワードだ。「なるべきリーダーに、今はまだなれていないだけ」。そう言って、「まだ」届いていないものに届くために全力を尽くした。努力をしたぶんだけ成長することができた。
文/ジェニー・ウッド 訳/上原裕美子 写真/shutterstock













