「パートナーとの掛け合いはほぼ即興です」

─ラジオを始めるにあたり、以前の番組を研究したり、他の番組を参考にしたりしましたか?

大西 むしろ聴かないようにしました。自分のやりたいことをやるんだ。失敗したらそこまでだと。そもそも僕はラジオをほとんど聴いてこなかったんです。旺文社の『大学受験ラジオ講座』を高校生のときに1年間聴いていたくらいだったので、影響されるような番組がなかったということもあります。

そういう気持ちで始めた初期の2、3年を振り返って思うのは、理屈を通そうとしすぎていましたね。理論畑の僕がいちばん得意なのは理屈なので、たとえば「時制の一致」というのは、こういうふうに考えるとよくわかりますよと、理屈の説明に力を入れていました。

でも、実際に英語をしゃべるために重要なのは、理屈以上に、よく使われるフレーズが出てくるかどうかです。3年間で理屈を説明し尽くした実感もあったので、それ以降は、より多くのフレーズを教材で取り上げることに力を入れました。そうすることで、より本当の英語に近づいたというのでしょうか。包括的で全方位的な英語番組になっていったと思います。
 

─大西先生といえば、軽妙なオープニングトークや、パートナー二人との掛け合いを楽しみにしている人も多いと思います。初期の頃からこうしたコーナーはあったのでしょうか?

大西 むしろ初期のほうが力を入れていました。というのは、先ほども述べたように、伝統番組を引き継いだプレッシャーをものすごく感じていたわけです。多くの人に聴いてもらうにはどうしたらいいだろうと考えて、よし、「面白いこと」を言おうと。

もう一つ、『ラジオ会話』が始まる直前まで出ていたNHKのテレビ番組『ジョブキソ』(『しごとの基礎英語』)でも、登場時に面白いことを言うのがルーティンになっていたんです。同じことを期待してくれている人もいるだろうから、ラジオを普通に始めるわけにはいかないぞと。そういう気持ちもあって、とくに初期の頃は頑張っていました。

よくやったのは、小林克也さんのモノマネです。番組の内容と全然関係ないんだけど、僕は小林さんの野太い声が大好きで。収録の日は早朝に起きて、何かネタはないかなとずっと考えていましたね。おかげさまで多くの人が面白いと感じてくださったようですが、教育番組で何をバカなことをやっているんだと怒っていた方もいらっしゃったと思います。

そうした声は申し訳ありませんが無視させていただきました。一方で、番組が定着していくにつれて、余談の時間は減らしていきました。やはり内容自体を面白がっていただくことが本質だからですね。

ちなみにパートナーとの掛け合いはほぼ即興です。僕が何か言ったあとは二人を野放しにして、いえ、二人には自由に応答してもらって、僕自身も会話を楽しんでいます。