聴取率を落とさないためにプレッシャーの中で考えた作戦

「声だけはちょっと自信があった」NHK『ラジオ英会話』大西泰斗が明かす、人気講座の意外な舞台裏_1
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─NHKの語学講座『ラジオ英会話』の講師になられたのは2018年。幅広い世代のリスナーの支持を得て、9年目に入っています。どのようなきっかけでラジオを始めることになったのでしょうか。

大西 僕は2005年からNHK教育テレビの番組(『ハートで感じる英文法』ほか)に出ていたんです。そもそもは『英文法をこわす』という本をNHK出版から出したことがきっかけでNHKのテレビに出るようになり、付き合いの長いプロデューサーが、大西はラジオに向いていると、勧めてくださいました。

自分がラジオをやるなんて青天の霹靂で、最初はすごく怖かったですよ。『ラジオ英会話』は伝統ある番組ですから、僕になって聴取率や評判がガタ落ち、なんてことになったらどうしようかと。

一方で、昔から声だけはちょっと自信があったんです。妻に、「声だけは自信を持っていいよ」と言われてきましたので(笑)。数少ない得意分野を、テレビのプロデューサーが見つけてくださったのでしょう。僕は理論言語学者なので、英語を上手になることにそれほど腐心してきたわけではありません。それよりも学習のプロセスを改善したり、新しい考え方を提示することに興味があった。そういう人間だからこそ打ち出せる新機軸があるのではないかと思って、ラジオの世界に飛び込みました。

─テレビと比べてラジオはいかがでしたか?

大西 ものすごくラクになりました。地味な性格なので、人様に顔を晒すのがずっと恥ずかしかったんです。その上、テレビは必ず化粧をするんですよ。これも苦手だったんですが、映りが悪くてもいいので素顔で出ます、というわけにはいかない。一人だけ化粧をしていないと、他の出演者に比べて血色が悪く見えるため、視聴者の気が散るからですね。

それからテレビは、カメラマンさんや音声さんはじめ、何十人単位で動きます。打ち合わせ、準備、リハーサル、撮影と、朝から晩まで時間がかかっていたのに比べたら、ラジオはコンパクトにできていて、直接収録に関わるのはパートナー(デイビット・エバンスさん、秋乃ろーざさん)二人を含めた5人だけ。少人数ですから、収録ギリギリまで内容を詰めることができますし、何より顔が映らないから気楽にできています。

もちろんテレビで学んだこともたくさんありました。初日に僕はNGを10回くらい出したんです。NGって、出している本人だけでなく、周りの演者さんの気分も落ち込んでいきます。誰も僕を咎めるようなことはおっしゃらないんですが、空気が重くなっていくのがわかる。厳しい世界だなあと思いました。

で、家に帰って自分に何が足りなかったのかを考えると、要するに、少しでもカッコよく映ろうとしていた。そういう雑念ばかりに神経がいっていたと反省して、今後一切、カッコつけるのをやめようと決めました。ありのままでいくと腹をくくってから、ラジオに移った今まで、NGをほとんど出していません。