「一般の人は二度と次の家を買えなくなってしまいます」

さらに西岡氏が最も懸念するのは、この税制が「悪質な転売業者」ではなく、「ごく普通の一般生活者」の首を絞める点にある。

短期譲渡(=短期売買)の定義は「所有期間が5年以下」となっている。しかし、「丸5年」ではないことに注意が必要だ。税法上、購入してから「1月1日を何度迎えたか」で計算されるのだ。例えば2021年1月初旬に買い、2026年12月終わりに売る場合は、ほぼ6年経っているにもかかわらず、短期譲渡の扱いになる。

画像はイメージです(撮影/集英社オンライン)
画像はイメージです(撮影/集英社オンライン)

「少なくとも5年以上、場合によっては6年近く保有していないと『長期譲渡(税率約20%)』にはなりません。家を買った後に、子どもが生まれたり二人目のお子さんができたりして手狭になる、あるいは急な転勤や両親の介護、転職、離婚、収入の変化、病気など……5年や6年の間に家を売らざるを得ない事情なんて山ほど出てきます。

私も、マンションを購入して3年ほどで『子どもができて家族が増えたから広い家へ買い替えたい』という相談を受けることもあります。そうした人たちまで一括りに『5年以上経っていないから利益の8割を国に納めろ』となってしまうわけです」

マイホームの売却には3000万円の特別控除があるという指摘もあるだろう。これは、大まかに言うと3000万までの売却益については課税されないという制度だ。これについても西岡氏はこう指摘する。

「昨今のマンション価格の高騰によって、仮に現居の売却で利益が出たとしても、そこから次の家を買おうとしたら、次の新築や中古も当然値上がりしているわけです。利益が出たからといってそれが別のことに使えるわけではなく、次のマイホームの購入資金になる。その大切な住み替え資金から国が多額の税金を徴収する。そうなれば、買い替えしようという一般の方は減るのではないでしょうか」