敗訴から立法へ…たどり着いた「慰謝」という一歩
河合さんら東京大空襲による遺族や被害者も2007年、国を訴えたが、2013年に最高裁で敗訴が確定した。
ただ、この訴訟で裁判所は受忍論を持ち出さず、立法措置による解決を促した。これを背景に2015年には超党派の「空襲被害者等の補償問題について立法措置による解決を考える議員連盟(空襲議連)」が発足。河合さんら当事者は10年に結成された「全国空襲被害者連絡協議会(全国空襲連)」で議連を中心に、民間人への補償実現を訴えてきた。
その動機について河合さんは、国の責任を受忍論で不問にすれば、「次」の戦争に道が開かれる、という危機感があると説明する。
「政府が受忍論を続けるのなら、一般の民間人が被害を受けた時に国は何の対応もしない、切り捨て、見捨てるという対応を取ることになります。
次に戦争が起きれば81年前よりはるかに大きな被害になり、どんな人も身近な人が犠牲になるでしょう。政府が民間人の被害に対する責任を取らなければならないという考え方を取るなら、戦争による被害を想定し、そうした犠牲を必ず避けようとする方向に努力をすると考えられます。だから、受忍論の打破は戦争抑止の力になると思います」(河合さん、以下同)
全国空襲連の働きかけを背景に、空襲議連は昨年6月、衆議院法制局が関与する形で救済法案を決定した。
その前文では、国がこれまで受忍論で救済をしてこなかったことを指摘しながら、
〈(空襲被害者らの)多⼤な労苦に鑑み、国として、これを慰謝し、及び空襲その他の災害による被害の実態を明らかにしてその犠牲者へ追悼の意を表するため、この法律を制定する。〉
と書かれ、これまで受忍論を理由に救済が行なわれてこなかった中、「慰謝」として一時金を支給することなどを定めた。












