「会いたい」けれども…
前出の清水さんはこう語る。
「私と子どもだけならともかく、夫にはそれなりに気を遣うようで、好き嫌いのある夫の好みを事前に聞いて献立を考えたり、私たち夫婦の子育て方針には口を出さないようにと言いたいことを飲み込んでいるようにも感じます」
孫に会えること自体はうれしい。しかし、義理の息子にも煙たがられたくない。嫌味な姑にはなりたくない。そう思いながらの連泊は体力も削っていく。
「実際、今は両親から『泊まるなら2泊ぐらいだと嬉しい』と言われています。子どもが小さい頃は特に大変だったようで、長く泊まったあとに母が体調を崩してしまったこともありました」
SNSでは《2泊までね》と言われる人もいるなど、親世代の帰省の考え方自体が変わってきたのかもしれない。
では、実際に迎える側はどう感じているのか。地方に住む60代の女性は、こんな本音を明かす。
「私たち夫婦もそうですが、今の50代~70代って、仕事を辞めても趣味があったり、友達と出かけたり、自分たちの時間を楽しんでいる人も多い。家計の少しでも足しにとパートをする人もいる。
そこに家族が何日も泊まりに来たら、普段の生活は大きく変わってしまいます。でも、もちろん“帰ってくるな”とは思ってません。孫の成長が見たいし、いくつになっても我が子は我が子。会えば嬉しい気持ちにはなる。自分たちがお盆の後に節約生活になったとしても、それは変わらない。
それに自分たちがいつかいなくなった時、いくら終活の準備をしたとしても、子どもたちに葬式や実家の片付けで迷惑をかけてしまうから……。
『会いたい』と『何泊もされるのは大変』という両方の気持ちがあると思います」
帰省をお互いに楽しむためにも「何泊なら大丈夫?」と聞いてみる――いまの時代の帰省には、そんな気遣いも必要なのかもしれない。
取材・文/千駄木雄大













