祖父母世代を圧迫する物価高
こうした「孫に会えるのはうれしいけれど、迎えるのは大変」という感覚は、この女性の両親だけのものではないようだ。
株式会社ロッテが2022年、遠方に住む小学生の孫を持つ50歳以上の男女221人を対象に実施した「帰省に関する祖父母と孫の意識調査」では、孫に会うこと自体については、93.6%が「楽しみ」または「どちらかと言えば楽しみ」と回答している。
一方、「ゴールデンウィークに遠方の孫に帰省してほしいか」と尋ねると、「してほしい」と答えた祖父母は54.3%だった。これに対し、遠方に祖父母がいる小学生の子を持つ親189人による代理回答で孫側は73.5%が祖父母宅へ「帰省したい」と回答しており、迎える側と帰る側で意識に差がみられた。
もちろん、これは2022年の調査で、帰省のタイミングもゴールデンウィークのもの。現在の物価高によって祖父母がお盆の帰省を負担に感じるようになったことを直接示すものではない。ただ、「孫に会えるのはうれしい」という気持ちと、「帰省してほしい」という気持ちが、必ずしもイコールではないことはうかがえる。
そして現在、そこに重くのしかかっているのが、祖父母世代の家計事情だ。総務省の「家計調査」によると、2025年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1か月の実収入は平均25万4395円だった。
税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は22万1544円なのに対し、消費支出は26万3979円。可処分所得と消費支出を単純に比較すると、毎月約4万2400円、支出が上回っている計算になる。
そんな家計状況にあっても、祖父母世代は孫のために決して少なくないお金を使っている。ソニー生命保険が全国の50~79歳1000人を対象に実施した「シニアの生活意識調査2025」によると、孫がいる252人のうち、この1年間に孫のためにお金を使った用途で最も多かったのは「おこづかい・お年玉・お祝い金」の69.8%。「一緒に外食」も54.4%に上った。
物価が上がったからといって、祖父母が簡単に「孫に使うお金」を削れるとは限らない。普段の自分たちの生活では節約していても、久しぶりに帰ってきた孫にはおいしいものを食べさせたい。何か買ってあげたい。小遣いくらいは渡したい。大好きな祖父母でありたい……。そんな気持ちがあるからこそ、帰省時の出費が膨らんでしまうこともある。













