市場の変調は家を探す人々を救うのか
東京カンテイが26年2月に発表した都心6区の平均中古マンション価格は前月比0.2%減となり、37カ月ぶりの下落となった。湾岸エリアのタワマンや港区の高級物件など上昇相場を牽引してきた物件での値下げも目立つ。
転売を前提に購入していた人たちが在庫整理のために価格設定を見直す例や、強気一辺倒だったデベロッパー側が販売時期を重ねるタイミングで販売価格を切り下げる例も相次いでいる。リクルートの中路主任研究員は「これまで上がりすぎていたところが少し調整局面に入っているのでは」と分析する。
もっとも、不動産価格が多少下がったからといって、これで住宅が市民の手に届くようになるかは不透明だ。ほとんどの住宅購入は融資を前提としており、金利が上昇している環境下では、月々の返済額は増加する。
1億円を0.5%で借りていた場合の月々の返済額は26万円だが、これが1%になると、28万2000円まで上がる。価格下落のドライバーが金利上昇である以上、給与の上昇が追いつかなければ、無理をしないと家を買えない状況には変わりない。
米国で金融危機が発生する前夜、「音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない」とウォール街のエリートたちはうそぶいた。その後、リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに株価がどのような変遷をたどったかは皆が知るところだ。
翻って2026年の日本。不動産市場が変調をきたしているように見える中でも、住宅購入のチャンスと見る人は存在する。
住宅ローン利用者の動向を観察し続けてきたMFSの塩澤取締役は「26年4月以降も平均借入額は落ちていない」と分析する。
都内の不動産仲介事業者は、「投資目的で売られているような高値の部屋は買い手がつかず値下げされる例も増えているが、少しでも割安感がある部屋はすぐに買い付けが入る」と語る。
少なくとも、これからも音楽が鳴り続けることを信じて踊る人々はまだフロアに残っており、虎視眈々と次の機会を狙っているようだ。
文/外山尚之 写真/shutterstock













