夏場は「加熱したから安心」とは限らない

ただし、許可を受けた店であっても、営業中の温度管理や手洗い、器具の使い分けが不十分なら、食中毒の危険は高まる。営業者側の管理に加えて、客側も提供時の状態を確認することが重要になる。

京都市は夏の食中毒について、「気温・湿度が高くなる夏期は、食中毒の原因となる細菌が繁殖しやすいため特に注意が必要です」と呼びかけている。2026年度は7月10日までに市内で5件、患者27人の食中毒が確認され、サルモネラ属菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクターなどが原因となっている。なお、これらが祇園祭の露店に関係した事例というわけではない。

屋台で特に注意したいのは、肉や魚、卵を使った料理、生野菜、作り置きされた米飯や麺類、クリーム類などだ。

肉は表面が焼けていても、中心部が生焼けのことがある。串焼きや大きな鶏肉、厚みのある肉は、中心まで色が変わり、十分に熱くなっているかを確認したい。

一方、「しっかり加熱してあるから絶対に安全」とも限らない。黄色ブドウ球菌などは、人の手指などから食品に付着して増殖し、毒素をつくることがある。食品の中で毒素ができた後では、再加熱しても防ぎきれない場合がある。そのため、作ってから長時間置かれた食品を避けることも大切だ。

混雑する祭り会場で、客が調理場のすべてを確認することは難しい。それでも、店頭で判断できるサインはある。

まず、調理済みの料理が大量に積み上げられ、長時間置かれていないか。作り置きよりも、注文後に調理され、加熱直後に提供されるものを選ぶことは、リスクを下げる一つの目安になる。

できたてを頼むのもリスクを下げる手段の1つ(写真/PhotoAC)
できたてを頼むのもリスクを下げる手段の1つ(写真/PhotoAC)

次に、肉や魚などの生ものがクーラーボックスや冷蔵設備で保管されているか。直射日光の当たる場所に食材が並べられている店は避けたい。

三つ目は、現金を扱った手で、そのまま食材や容器に触れていないか。会計と調理の担当が分かれている店は、ひとつの安心材料になる。

四つ目は、トングや箸が生肉用と調理済み食品用で分けられているか。生肉をつかんだ器具で焼き上がった肉を扱えば、せっかくの加熱後に再び菌が付着するおそれがある。

最後は、見た目やにおいに違和感がないかだ。ただし、食中毒菌が増えていても、必ずしも味やにおいが変わるとは限らない。「変なにおいがしないから大丈夫」とは考えないほうがいい。