その場に35人いたのに事情を聴いたのは1人だけ
体に何が起きていたのか。亡くなる約10日前から訪問治療を行なったC医師が話す。
「1、2週間食べないと『腸管上皮』が脱落し、吸収に適した腸が失われ、食べても下痢になります。この状態が回復しなかったとみられます。
初めて彼女を診た昨年12月4日には肝機能障害が出ていました。栄養源がなくなると体はまず筋肉を分解して栄養を取り、筋肉もなくなれば肝臓などの大きな臓器をつぶす“自己融解”とも言える状況になります。彼女はがんばって食べようとし、痛みをともなう点滴にも耐えていましたが、本当に末期の状態でした」(C医師、以下同)
もっとも、亡くなる5カ月前に釈放された時点で、るなさんはすでに快復できない体になっていた可能性があるという。
「体重を考えれば、釈放された段階でもう結構厳しかったと思います。なぜ救急搬送された時に留置場に戻したのか……」
重大なのは、捜査が自白で容疑をでっち上げる“冤罪づくり”をしようとした疑いがあることだ。
るなさんとBさんの容疑は昨年2月15日、施設でのバレンタインイベントで知的障がい者の女性Xさんのあごを複数回手で押さえつけるなどしたというものだ。
A子さんの代理人を佐々木弁護士とともに務める向井義博弁護士によると、Xさんは当日、別の参加者に嚙みつこうとし、るなさんらがあごに手を添えて「あかんよ」と制止したという。
これを現場にいた別の知的障がいがある女性Yさんが、同年4月1日になって、居住地の役所に「虐待かもしれない」と相談。その後、情報を得た明石警察署がXさんの父親から事情を聴取。父親は会話ができない娘に代わって被害申告を行ない、6月17日の2人の逮捕に至る。
だがイベントには利用者とスタッフ計35人が参加していたにもかかわらず、同署は逮捕前、Yさんにしか事情を聴かず、証拠の確保もしていない。













