「自分で歩ける」だけでなく、体調を伝えられること
では、子どもを山へ連れていけるのは何歳ごろからなのか。
小児科医のりんごさんは、「年齢だけで一律に決めることはできませんが、一つの目安は、自分の足で歩き、『痛い』『疲れた』『気持ち悪い』『寒い』と体調を言葉で伝えられるようになってからです」と話す。
ただし、言葉を話せる幼児でも、体調を正確に説明できるとは限らない。山岳医療の専門機関は、8歳ごろまでは高山病の症状をうまく伝えられない場合があるとして、食欲、機嫌、活動性、睡眠などの変化を保護者が慎重に観察するよう呼びかけている。
子どもが歩けるようになった後も、最初から高山や長時間のコースを選ぶのではなく、すぐに引き返せる低山や整備された遊歩道から始める必要がある。親の達成感を優先せず、子どもが疲れたり嫌がったりした時点で中止することも大切だ。
「赤ちゃんにとっては、近所の公園でどんぐりを拾ったり、落ち葉や土に触れたりするだけでも十分に大きな冒険です。大人と同じ景色を見せることを急ぐ必要はありません。今の発達段階で、安全に楽しめる自然体験を選んでほしいと思います」(前同)
家族で山へ行くこと自体が問題なのではない。問われているのは、大人の計画に、まだ意思や体調を伝えられない乳児を参加させることの危険性を、どこまで具体的に想像できるかだ。
SNSに投稿された写真では、登頂できたという「結果」しか見えない。しかし、安全だったように見える一例が、別の赤ちゃんにも当てはまるとは限らない。乳児の命を守るためには、「行けるか」ではなく、「異変が起きた時に確実に気づき、安全に戻れるか」を基準に判断する必要がある。
取材・文/集英社オンライン編集部













