お笑い界を揺るがした「ハイセンス芸人」の提言

漫才では「現実を直視する勇気など無い!」「現実をスワイプ!」と言っていたが、その言葉が自分自身に向き合い、思索を重ねてきたからこそ出てきたものだということがよくわかる2本だった。

そんな銀次が、なにかを「思う」ことが嫌で、絶対に「思う」ことになるから、極力見ることを避けていた、と語った(『アメトーーク!』テレビ朝日系、6月18日)のが、蓮見翔率いるダウ90000だ。

その蓮見は、1月12日放送の『大悟の芸人領収書』(日本テレビ系)「第3回お笑いの未来を考える会」で、以前から度々口にしていた“持論”の決定版とも言える発言をした。

「(ダウで)お笑いを何年かやらせてもらった結果、お笑いもそんなに流行ってなかったです」「さも流行ってるかのような気分になるんですけど、ちょっと外歩いてみたら、誰もお笑いの話してない」

この「お笑い流行ってない」論争を巻き起こしたことは今年上半期の大きなトピックスだろう。

お笑い界に激震が走った回(『大悟の芸人領収書』公式SNSより)
お笑い界に激震が走った回(『大悟の芸人領収書』公式SNSより)

実際は、のちに蓮見本人が言っているように、芸人からのツッコミ待ちの「ギャグ」という側面もあったはずだが、それがあまりにクリティカルだったためか、正面から受け取られることにもなった。

その結果、同番組で3週にわたり放送された、それぞれの世代の芸人がお笑いの未来を愛情深く語り合った「お笑い平成世代と令和世代のすれ違いを埋めようSP」や『チャンスの時間』(ABEMA)流に「七宝vs滝音」「MBTI vsキングオブコント」などの知名度で競い合った「緊急調査!お笑いは本当に流行っていないのか?」など、この発言をトリガーとする企画が各所に派生していった。

蓮見は「俺、流行ってないから、もっと流行らせるためにどうしたらいいか、みんなで考えようよ、みたいな肯定的なあれだったんですけど、冷笑として、その言葉だけ回っちゃって」と総括しつつ、「でも一回気付くのはよくないですか。だってどうせカウンターカルチャーなんだからお笑いなんて。もう一回這い上がる気があるコンテンツのほうが、みんな追いますって」(『ゴッドタン』テレビ東京系、6月13日)と語っている。

お笑いが「流行ってない」のは、爆笑問題・太田光が何度となく公言している「夢」が実現しないことでも証明されているかもしれない。