若者たちが直面している苦境の根底には、日本社会全体の歪み

最近では不動産価格が高騰して、マンションや家を買えないという若者の嘆きも聞こえてきます。

しかし、ここで私たちが真剣に議論しなければならないのは、なぜこれほどまでに物価が上がっているのか、そして日本経済が今どのようなリスクの瀬戸際にあるのかというマクロの視点です。

若者たちが直面している苦境の根底には、日本社会全体が抱える構造的な歪みがあるのです。

世界的な過剰流動性の中で、今は各所でバブル的な現象が起きています。有事のアメリカに資金が向かい、ドル高や株高が進んでいますが、日本国内の足元に目を向ければ、極めて不自然な状況が続いています。

「日本の若者は本当に貧乏なのか?」竹中平蔵が警鐘…日銀の利上げで始まる、若い世代を待ち受ける“さらに厳しい現実”_2

これだけ巨額の国債を発行していれば、本来は国債の価格が下がって、金利が上がってしかるべきです。それにもかかわらず、金利を低く抑え込まれていたため、国債そのものがバブル化している状態、いわば「国債バブル」が起きているわけです。

現在の政権は、支持率を維持することに汲々とし、ガソリン代や電気代に多額の補助金を出すことで、このインフレの痛みを表面上だけごまかしています。しかし、これは単なるポピュリズムであり、国民から省エネやイノベーションに向かう動機を奪っているに過ぎません。

「金利のある世界」への移行は避けて通れないフェーズに

政治の側が日銀に対して、物価は政府が補助金で抑えるから投資や景気を冷え込ませないために金利を上げないでくれというプレッシャーをかけていたのだとすれば、それは中央銀行の独立性を脅かすだけでなく、マクロ経済の歪みを限界点まで膨張させる極めて危険な行為です。

ただし、このような市場の価格シグナルを人為的に歪める政策は長くは続きません。植田総裁率いる日銀も、いよいよ国債バブルの崩壊を防ぐため、そして進行する物価高を制御するために、政策金利を本格的に引き上げる決断をしました。

では今後、日銀が金利を上げたらどうなるのか。実はこれこそが、「貧乏だ」と嘆いている今の若い世代を直撃する最大の試練なのです。

まず、金利が上がれば、これまでゼロゼロ融資などの低金利環境に甘え、利益率を削りながらどうにか延命してきた生産性の低い企業は、一気に資金繰りに行き詰まります。