世代間格差の犠牲者だと不満を述べている暇はない

物価高倒産に金利高倒産が加わり、若者の雇用環境は厳しさを増すでしょう。

さらに深刻なのは住宅ローンです。今、都心周辺で高額なマンションを購入している若い共働き世帯中には、超低金利を前提とした変動金利で多額のペアローンを組んでいる人もいるでしょう。

日銀が利上げに踏み切れば、彼らの毎月の返済額は容赦なく跳ね上がります。生活費が高騰する中でローン負担が重くなれば、家計はあっという間に破綻しかねません。

そして過去の経験則から言えば、金利が上がればまず株価が下落し、少し遅れて不動産価格も下落に転じます。高いローン金利を払い続けながら、自分たちが買ったマンションの資産価値はみるみる目減りしていく。これが、金利正常化がもたらす冷酷な現実なわけです。

だからこそ、私は若い人たちに言いたいのです。ただ「自分たちは貧乏だ」「世代間格差の犠牲者だ」と不満を述べている暇はないのだと。国はもう、皆さんの豊かな生活水準を補助金で丸抱えできるような余裕はありません。

「日本の若者は本当に貧乏なのか?」竹中平蔵が警鐘…日銀の利上げで始まる、若い世代を待ち受ける“さらに厳しい現実”_3
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このままビジョンのない政策の下で、ぬるま湯のポピュリズムに浸っていれば、やがて来る金利上昇の波に完全に呑み込まれてしまいます。

今、真に求められているのは、自分たちの置かれた状況をマクロ経済の視点から直視し、痛みを伴う改革を受け入れる覚悟です。若者は数が少ないから政治力が弱いと諦めるのではなく、自分たちの資産とキャリアを守るために、真っ当な政策を遂行できる政治勢力を押し上げていく必要があります。

ただ国家の保護を求めるのではなく、厳しい経済のダイナミズムの中で自らの価値を高め、自立していくこと。それこそが、本当の意味でこの時代を生き抜くための唯一の道なのです。

文/竹中平蔵