中国に親しみを感じると答えた日本人はわずか14.7%
日本に親中派が増えているわけではないのだから、中国の宣伝工作など大して効いていないはずだ――と考える日本人は少なくないだろう。
実際、内閣府が2024年に実施した外交に関する世論調査では、中国に親しみを感じると答えた日本人はわずか14.7%、感じないと答えた人は84.7%に達した。中国への親近感はロシアに次いで低く、過去最低水準に沈んでいる。
1980年に華国鋒首相が訪日した当時、親しみを感じる人が78.6%を占めていたことを思えば、まさに天と地がひっくり返った。この数字だけを見れば、中国の対日プロパガンダは惨敗したと結論づけたくなる。
だが、ここに落とし穴がある。少なくとも近年警戒される影響工作は、単純な親中化よりも、分断や不信の増幅に重点があると指摘されている。
国民が「戦う意志」を失うよう仕向ける――認知戦
中国側の影響工作として警戒されているのは、好意を抱かせる旧来型の宣伝ではない。標的の社会に走る亀裂を意図的に広げ、政府や制度への信頼を内側から損わせ、いざという時に国民が「戦う意志」を失うよう仕向ける——いわゆる認知戦である。
人民解放軍は2003年に政治工作条例を改正し、心理戦・世論戦・法律戦からなる「三戦」を正式なドクトリンとして掲げた。その狙いは、敵を好きにさせることではなく、敵を内側から瓦解させることにある。
象徴的だったのが、文化交流の看板を掲げた孔子学院の退潮だ。2005年に立命館大学を皮切りに各地の大学へ広がったこの機関は、欧米では、共産党の宣伝・影響工作に利用される恐れがあるとして警戒され、閉鎖が相次いだ。
日本でも2025年8月、武蔵野大学孔子学院が閉院した(理由は公式には「協定締結期間の満了」)。表向きの看板を掲げた公然の浸透工作は、自由主義陣営で次々と封じられている。
しかし、これを中国の敗北と見るのは早計だ。













