消費者は物価高に慣れた状況下での消費税減税

政府は消費税減税を給付付き税額控除を導入するまでのつなぎとし、中所得者や低所得者への物価高対策と位置づけている。

日本は2022年ごろから急速な物価高に見舞われた。特に2024年から2025年にかけてはコメ高騰も加わって食料品価格の上昇が家計に大きく響いた。2025年の消費者物価上昇率は生鮮食品を除いて3.1%であり、前年の2.5%から加速している。

コメ類の上昇率は67.5%にも上っていた。高市首相が食料品の消費税ゼロが悲願であると発言したのは2025年6月だ。

しかし、足元ではコメの価格が落ち着きを取り戻している。POS分析のマーチャンダイジング・オンによると、2026年6月3日のコメ5キロの店頭販売価格の平均は3766円だ。2025年7月には5000円を超えることもあった。

昨年の高騰から落ち着きを取り戻しているコメ価格(写真/PhotoAC)
昨年の高騰から落ち着きを取り戻しているコメ価格(写真/PhotoAC)
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2025年に物価高の主要因になっていたコメは、今では在庫の過剰感が漂っており、新米が流通すれば価格は今後さらに下がる可能性もあるわけだ。

食料品の値上げは2026年も続いているが、消費者の受け止め方が変化していることも特徴である。

チラシ情報サービスなどを提供するくふうカンパニーによると、食品や日用品などの普段の買い物について、74.2%が「値上げに慣れてしまった感覚がある」と回答した。

消費者は、物価高が続く中で値上げを生活の一部として受け止めざるを得ない状況にあるのだ。4割近くは10円~20円程度の値上げには驚かなくなったとも回答している。

日本人は長らく続いたデフレで、かつては物価高に対する拒絶反応が異常なほど強かった。2022年6月に当時の日銀総裁だった黒田東彦氏が物価高に対する家計の許容度が高まっていると発言し、大問題になった。物価高騰に苦しむ家庭を軽視するものだと受け止められたのだ。

しかし、インフレは悪であると切り捨てられないことも事実だ。物価上昇が続いて企業の収益力が高まり、賃金として還元されて消費が旺盛になるという好循環を生み出すからである。

ここで重要なのが、インフレ経済に人々が適応するかどうかだ。くふうカンパニーの調査からはその兆しが見えているが、消費税を引き下げることでその感覚に水を差すことにもなりかねない。

また、8%から1%に引き下げることによる効果も限定的だ。家計調査の2025年の平均結果によると、2人以上の世帯の食料の月平均額は9万4895円で、消費税は7029円となる。

1%だと879円で、差額は6150円だ。コメ5㎏の価格が2025年より1000円以上下がっている今、国を挙げて減税に走ることには疑問の余地がある。