ゲームは最初から通貨覇権と直結している
例えばエヌビディア製GPUを大量導入しようとしても、円安になればなるほど、日本企業の負担は膨らむ。一方、米国トップ企業群は、自国通貨であるドルを使い、数兆円、数十兆円単位でAIインフラを積み上げていく。つまり、このゲームは最初から通貨覇権と直結しているのである。
にもかかわらず、日本では株価上昇だけが成果として語られる。しかし、それはドル建てで見れば、実はそれほど強くない。円が弱くなれば、海外投資家から見れば日本株は割安化する。だから海外マネーは流入する。
しかし、その一方で、日本国内の購買力は静かに削られていく。これは繁栄ではない。むしろ、通貨安で演出された株高に近い。
高市政権は台湾有事や安全保障を強く打ち出し、支持率を維持してきた。しかし、その裏側で最も静かに悪化しているのが、実は日中関係である。
日本市場ではAI関連株だけが熱狂的な買いを集めている
AI時代において、中国は単なる地政学リスクではない。巨大市場であり、巨大生産基地であり、巨大AIプレイヤーでもある。本来であれば、日本は米中対立の狭間で、極めて冷静かつ現実的な外交バランスを求められる局面に入っている。
しかし現実には、政権は台湾有事発言を繰り返す一方で、日中関係悪化については、ほとんど踏み込んで語ろうとしない。なぜか。安全保障強硬論のほうが、国内支持率に直結しやすいからである。
しかし、市場は本来、感情ではなく、現実で動く。中国経済減速、中国不動産問題、米中分断、サプライチェーン再編。日本企業はそのすべての影響を真正面から受ける立場にある。
しかもAI時代に必要なレアアース、電池材料、電子部品供給網まで考えれば、中国との関係悪化は、日本経済そのものに直結する。
にもかかわらず、日本市場ではAI関連株だけが熱狂的な買いを集めている。ここが恐ろしい。株価だけを見ると、日本もAI革命の中心にいるように見える。しかし実態は違う。
上がっているのは、AIに関係ありそうな株である。半導体関連、電線、電力、データセンター、冷却。AIという単語が決算資料に入るだけで買われる。しかし、それはAI文明を支配していることとは全く違う。市場はそこを混同し始めている。ここがバブルの怖さだ。













