堪忍袋の緒が切れそうになるカフェ
結婚10周年を祝い、新婚旅行で行ったプラハをふたたび妻と訪れた。私たちが泊まったホテルの近くには、接客方法がすごく印象的だった思い出のカフェがある。
マスターが一人で経営するその小さなカフェはコーヒーが美味しく、いつも行列ができている。その列を見た私は、同じ飲食業を営む立場から「もう少し注文を早く受けて回転率を上げれば、ずっと収益が上がるのに……」と思ったものだ。
ところが彼はそうしない。お客さん一人ひとりにコーヒーについて詳しく説明をする。コーヒーの木が生育する地域の環境がどうだとか、そのコーヒーが世界大会で何等を取ったとか、どのような味がするのかなどなど。コーヒーを淹れる間どころか、コーヒーを淹れ終わってもまだまだ話は続く。
不思議なのは、待っている人たちも当然のようにその会話を聞きながら微笑んでいるという点だ。私だけがヤキモキして「なんでテキパキ注文を受けないで話し込んでるんだ?」とイライラしていた。会計も韓国より3倍くらいは時間がかかっていた。クレジットカードを受け渡しし、レシートを確認する。現金の場合はお釣りを渡す。どれもかなりスローテンポに見える。もはや堪忍袋の緒が切れそうだ。
やっと終わりかと思いきや、マスターはそのお客さんがドアの向こうに姿を消すまでずっと挨拶を交わしている。「いい1日を過ごしてください」「明日また会いましょう」「明日は1時間遅く開店します」などと言いながら。そのお客さんが完全に見えなくなると、ある程度片付けをしてから次のお客さんの注文を受ける。待っている人も催促などしない。一人たりとも。
この余裕はいったいどこから出てくるのだろうか。ポータルサイトで「チェコ」をキーワード検索してみた。国家別GDP47位(韓国13位)、一人当たりGDP37位(韓国29位)。韓国のほうがずっと上だ。このような状況下にあって、どうしてもっと効率よく稼ごうと努力しないのだろうか? どうして回転率を上げずに、お客さんとの会話を長く楽しむほうを優先するのだろうか?













