漢方は病気だけでなく病人を治す

──漢方に興味を持つきっかけになったのは、ご自身が抱えていた不調が原因だったとか?

樫出恒代(以下同) 私の実家は新潟で薬局を営んでいて、一般的な薬をメインに取り扱っていました。漢方は隅っこに置いてあるくらいだったので、大学まではまったく漢方に興味がなくて。

子宮内膜症の影響で生理痛がひどく、漢方を勉強していた母から「漢方薬を飲みなさい」とすすめられていたのですが、当時は西洋薬を飲めば治ると思っていたんです。

婦人科では生理を止める薬を処方されたのですが、ドクターからは「副作用で更年期のような症状が出たり、体毛が男性的になる」と言われて。「子宮内膜症を治すには、閉経するか子供を産むか」とも言われました。その治療方法に疑問を持ちました。そこから、母がすすめる漢方薬を飲んでみようかと思ったんです。

樫出恒代さん
樫出恒代さん

──漢方薬を飲んで、子宮内膜症は改善したんですか?

婦人科に行ったら数値もよくなっていて。実際に「治った」という経験値は本当に大きかったです。その後、頭痛も肩こりもなくなりました。

漢方は病気だけでなく病人を治すをモットーにしている医学。症状が治まったから終わりではなく、病気にならない、病気になったとしても再発しない。そんな高め安定の状態を目指すのが漢方の力です。

──薄毛や尿漏れのような悩みについては、「歳だから仕方がない」とあきらめている人も多いと思います。

尿漏れや薄毛はもちろん、老眼も物忘れもそう。病院に行ってもドクターから「歳だからしょうがない」と言われてしまいますよね。でも方法はいくらでもあります。

漢方の考え方では、髪は「血余(けつよ)」と言います。血は栄養そのものと考えられていて、胃腸の働きがよく、しっかり栄養素を吸収できれば、その栄養が髪に行き渡ると考えるんです。

また「髪は腎の華」、腎の働きと密接な関係があると言われています。腎はやる気や元気の「氣」、つまり生命エネルギーをためておくところのこと。エネルギーが低下することで、髪にも頭皮にもエネルギーが行き渡らず、抜け毛も増えていきます。

髪を作るための血の力を強化する食材(マグロ、カツオ、赤身の肉、ひじき、ほうれん草など)や、髪を抜けにくくする腎の力を強化する食材(黒ごま、黒豆、山芋、しいたけなど)を食事に取り入れてみるのがおすすめです。