スポーツ紙の報道に立脚したずさんな聴取
後藤「結果的にそうですね。だからまあ補液の影響も当然あったと思いますし、30分間安静にしていたことも症状を和らげたのかもしれませんが、そのとき判断したのは補液が必要と判断しました」
衰弱して水が飲めず、下痢も続いていた。治療して2日後の25日にJリーグに指示されて行なった血液検査では、CRPが0.54(正常値は0.3未満)と炎症を起こしていた根拠を示す具体的な数値を記録。緊急な水分補給が必要であったあの時点で、医師として患者に対して最も誠実な判断をしたという自負があった。それとも委員長は本当に筋肉に解熱剤を注入しろというのか。
青木「このような注射に対して、疑問に思わなかったか。選手は自分の身を守らなければいけないが、点滴に関して質問をしたか。ドクターが提案したのか」
後藤「はい、そうです。治療の場合点滴することと、ビタミンB1を使用することは必要であれば可能だと」
青木「感冒にはビタミンは効かないが」
後藤「感冒に関してはこの治療は効かないが、水分補給になる」
青木「脱水だけだったら生理食塩水を出してもいいけど、ビタミンB1は効かないですよね。要するにそこに解熱剤は入っていないですよね」
ここで青木はまた解熱剤の効能を説くようなことを発言した。事情聴取でありながら、青木の進め方はすでに正当な医療行為ではないという結論が出ているかのような流れであった。
青木は武田社長に、静脈注射が良くないという通達がきちんとクラブに届いているか、と問うたあとに、このようなことを言った。
「Jリーグのチームドクター連絡協議会で話しましたけど、いわゆるにんにく注射はどうですかというときに、それはノーだと」
にんにく注射など打っていないことは明白に主張されているが、打ったと決めつけている。直接取材をしていないスポーツ紙の報道に立脚したその聴取のやり方はあまりにずさんであった。
文/木村元彦
争うは本意ならねど(集英社公式サイトhttps://books.shueisha.co.jp/cbs/c2082/c290-26384/にて26年5月6日まで無料公開中)













