なぜ家族の物語にこだわるのか
これまで数々の“家族の物語”を描いてきた“ホームドラマの名手”、石井ふく子さん(99)。なぜ家族にこだわり続けるのか。その背景にある想いを聞いた。
「やっぱり私は一人っ子で、今でも独り身だから、家族のある人が羨ましいんです。そういった憧れがあったからこそ、家族の物語をずっと描き続けてこられたんでしょうね」(石井ふく子さん、以下同)
芸者の母のもと、東京で生まれた石井さん。未婚だった母はその後、俳優の伊志井寛さんと結婚したが、石井さんはほとんど一緒に暮らすことはなく、幼少期は祖父母に育てられたという。
「両親はどちらも忙しかったから。とくに祖母がよく面倒を見てくれたんですが、亡くなったときはすごく悲しくて、毎日泣いていました。母に『あんたの母親は私なのよ』と言われましたが、当時の私には実感が持てないぐらい、両親には構ってもらえていなかったんです」
石井さんが手掛ける“家族の物語”には、そうした個人的な憧れが色濃く投影されている。その一方で、「あえて描かない」と決めているテーマがある。それが「不倫」と「殺し」だ。
「今の時代は、家族のあいだで起きる悲惨なニュースがあまりにも多いでしょう。あれではいけない。だからこそ私は、お互いの心と心が通い合うような家族のドラマを作りたいと思っているんです。それと、不倫そのものが嫌いだから、作品でも描こうとは思わない。不倫をするのは、その人自身に問題があると思っています」

















