毎日電話をかけてくる2人の大女優
そんな石井さんがこれまでの人生で最も大切にしてきたのは、「人とのご縁」だ。
「私は一人っ子で兄弟がいないんです。今でも(配偶者と子どもがおらず)一人で住んでいますが、友達には恵まれてきました。いろいろ心配なのか、今も毎日2人の人が電話をかけてきてくれます」
その2人とは、数々の作品でタッグを組んだ女優の大空眞弓さんと水谷八重子さん、だという。
「毎日決まった時間に2人から電話がかかってきます。水谷さんは午前中。大空さんは午後6時半ぐらい。『元気?』『ご飯食べた?』とかいつも単純な会話ですけどね」
ほかには、上戸彩さんからも電話がかかってくるといい、「彩は“孫”の顔も見せにきてくれたこともありました」。また故・森光子さんや故・京マチ子さんとは家族ぐるみの仲だったという。
「人間関係は大事ですよ。やっぱり人と出会ってから長く付き合うことが大事ね」
仕事のない日は基本的に、自宅で過ごすという石井さん。
「あまり外に出るのが好きじゃないの。だからお散歩にも行かない。家でゆっくりテレビを見たり、橋田賞に応募された脚本を読んだり、気づけば仕事のことばかり考えています」
もっとも、その“静かな日常”も決して孤独とは無縁だ。友人から電話が絶えず、女優やスタッフなど仕事関係者の来客も多い。
「よくみなさんが自宅に来てくださるんです。カレンダーも予定でびっしりで、寂しいと感じることはないですね。むしろ、少しは一人の時間が欲しいなと思うぐらい(笑)」
そんな日々の積み重ねが、石井さんの“仕事の哲学”にもつながっている。
「みなさん、一生懸命やってくださる。結局は、“心”なのよ。何をするにしても、自分の心が相手に伝わって、相手の心が自分に返ってくる。そのやり取りが一番大事なことだと思います。心がない芝居やテレビを見ていると、『何をやってんの?』って思ってしまうの」
人とのつながりと、“心”のやり取り――それが、長く現場に立ち続けてきた理由だ。
















