マーケットは明確な警告を発している

高市政権の看板政策の一つに「責任ある積極財政」という言葉があります。ですが、今のところその具体的な中身は見えません。政権の取り巻きの中には「とにかく財政規模を大きくすればすべて上手くいく」と主張する極端な意見を持つ人々がいます。

しかし、現実は彼らの思い通りには動きません。マーケットは明確な警告を発しています。国債の暴落が続き、金利が上昇圧力を受けているのがその証拠です。

首相の所信表明や施政方針演説を聞いても、言っていることの整合性が取れていません。「無茶な財政運営はしない」「市場の信頼を損ねるようなことはしない」と言いつつ、積極財政を掲げる。

片山さつき氏の財政演説に至っては、「積極財政とはやたらに規模を大きくすることではない」と述べています。では、一体どうするつもりなのでしょうか。

片山さつき財務大臣(片山氏Xより)
片山さつき財務大臣(片山氏Xより)

彼らが持ち出す政策の一つが「複数年予算でやります」というものです。日本の国家予算は憲法と財政法の規定により単年度主義が原則です。それを無理やり「複数年度でやる」と言い張るための便法として使われるのが「基金」を積むという手法です。

しかし、基金化は財政の透明性を著しく損ない、非常に非効率な資金の滞留を生む最悪の手法です。あるいは「何年計画を作ります」と言いますが、そんな計画は状況が変わればすぐに反故にされるのがオチです。

「補正予算ではなく本予算でやる」という主張にしても、小泉内閣の時には当たり前にやっており、その後崩れてしまった規律を戻すだけの話に過ぎません。要するに、「責任ある積極財政」の目新しい実態はまだ見えていないのです。

経済政策や産業政策の内容が軽すぎる問題

高市政権のコアな支持層は、タカ派的でやや右派的な変化を求めていたはずです。

安全保障の面では、情報局の創設や防衛費の増額、防衛産業の強化、防衛装備移転三原則の改定など、彼らが喜ぶような動きを見せています。個人的には、これらの政策には大賛成です。

しかし、冷静に世界情勢を見渡せば、帝国主義的な覇権争いが激化する現在において、防衛力の強化は「そうせざるを得ない」という外圧の産物であり、強大なポリティカル・リーダーでなくても進められる既定路線です。

現代において、国の経済力は外交や防衛における重要な武器の一つです。経済基盤を強くしなければ、いかなる安全保障政策も砂上の楼閣に過ぎません。しかし、現在の政府が打ち出している経済政策や産業政策は、内容が軽すぎます。