「一体何が変わったのか」「期待外れだった」と気づくことに
例えばAI・半導体分野への投資戦略を見ても、支援対象を17業種にも広げ、満遍なく資金をばらまこうとしている。これはかつての通産省の産業構造審議会が音頭を取っていたような、各業界への財政支援と変わりません。
さらに不可解なのは、日本経済の大黒柱である自動車産業が、その支援対象の枠組みから外されていることです。なぜ日本の主力産業である自動車が外されたのか。はっきり言えば、経産省などの官僚から見て、巨大産業である自動車業界が「言うことを聞かないから」でしょう。
官僚がコントロールしやすい、あるいは顔色を窺ってくれる業界にだけ予算をつけ、本当に国力を牽引すべき基幹産業を軽視する。このような旧態依然とした官僚主導の決め方で、どうして日本のAI産業や先端技術が強くなるというのでしょうか。
支持率の高さに胡坐をかき、本当に打破すべき岩盤規制には手を出さない。これでは、いずれ国民は「一体何が変わったのか」「期待外れだった」と気づくことになります。
ポリティカル・キャピタルが尽きる前に、見せかけではない「本当の改革の姿」を国民に提示できるかどうかが、この政権の命運を分けるでしょう。
文/竹中平蔵 写真/shutterstock













