喪失感はあるけど実感はない
しかし、推しを喪っても日常は待ってはくれない。訃報の翌日からも仕事が始まり、学校が始まる。何も変わらない日常が流れる。TAKUYAさんも「どれだけ悲しくても行かなきゃいけない」と自分に言い聞かせながら学校に通った。
「友達の前でも、いつもの自分でいられなくて。ずっと頭の中に真矢さんがいる感じでした。ふとした時に思い出すというより、ずっとぼんやり存在しているような」
その感覚は、これまで接してきた“死”とは性質が違っていたという。過去にX JAPANのHEATHさんの訃報に触れた経験はあるが、彼を実際にライブで観たことはなかった。一方で真矢さんは、何度も直接目にした存在だ。
実はTAKUYAさんは昨年春、真矢の故郷・秦野市で行なわれた祭りで本人と出会い、写真を撮ってもらっている。至近距離で接した記憶は、今も鮮明だ。
写真を撮る際、ハートのポーズをお願いすると、真矢は笑いながら応じ、快くポーズをとってくれたという。
何度も見てきた人がいなくなるという現実。SNSでも多くのファンが悲しみの声を上げ、ニュースやテレビ番組でもその訃報が伝えられた。それでも、どこか実感は伴わない。
「親族が亡くなったときは、棺などを前にして目の前で実感する瞬間があると思うんです。でも推しの場合は、それがない。文字や情報としてしか受け取れないので、人が亡くなったのに『こんなにも実感がないんだ』と思いました。
真矢さんは自分の好きなものを作ってくれた存在というか、自分を形づくってくれた“親みたいな存在”でもあるんです。だから実感はないのに、とてつもない喪失感だけがある。どこにもぶつけられない感情が、こんなにも来るんだと気づきました」
3月8日に行なわれた献花式には、3万人以上のファンや関係者が参列した。訃報から約3週間、多くのファンにとって、ここで初めて「いなくなった」という現実を突きつけられる場にもなった。












