今の私だからこその重みを歌えたと思うわ
今年79歳になる美川さんは、これまで大きな病気ひとつせずしぶとく元気に過ごしてきた。だからこそ病に倒れたときは気弱になってしまったのだろう。
マネージャー以外は面会謝絶で、1か月半の入院期間は孤独だった。
「もちろんお友だちから私を気遣ったLINEなんかはきてたわよ。でも一人にお返しすると皆さんにお返ししなければいけなくなってしまうから、そういった連絡も遮断して快復に専念したの。
どんな時も結局は自分で自分を奮起しなければ何も始まらないからよ。私は相撲が好きなので、入院中はテレビの時間が楽しみでした。大関・霧島も高安も好き。
彼らの投げや足技を見てると、私の病気も投げてくれるような感じがして勇気づけられたし元気が出たわ」
退院後はパーキンソン病に有効だとされる運動療法を開始。これまでしたことのなかった、リハビリも兼ねたパーソナルジム通いを習慣づけた。
「今は1時間のトレーニングを週に2日続けています。足首に5kgのダンベルを吊るして後ろに引き上げたり、両膝にゴムチューブを引っ掛けて脚を外側に開いたりして筋力アップしてるのよ。
運動なんて大嫌いだったからキツいのよ。でもやるとスッキリするの。だからなんとか頑張っているわ」
そんな初めて“死”を現実のものと感じて復帰した後、NHK『うたコン 春の拡大SP』に出演した時に美川さんが歌ったシャンソン『生きる』はSNSでも「シビれた」「感動した」などと大反響。
「サビの『生きる 生きる 今になって私は 生きることの 貴さを知った』という歌詞は苦難を乗り越えた今の私だからこその重みを歌えたと思うわ。
私、舞台で涙を流したことなんてなかったけど、あの時はポロッときたわよ。さっちゃん(小林幸子さん)と舞台からはける時に一瞬ヨロっとしちゃったのよ。
そしたら、さっちゃんが私の腕をグッとつかんでそのまま袖まで支えてくれて…生きててよかった、皆さまがいてくださってよかった、すべてに感謝よ」
1990年代の『紅白歌合戦』での“豪華衣装対決”が有名な、二人の盟友の支え合う姿に視聴者も感動に包まれたことだろう。
後編では美川さんの「終活」を聞いた。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班















