ギターの常識を変えた革新的なアイデア

表向きにはラジオの修理が専門の会社だったが、地元のミュージシャンにフルアコースティックギターやアンプの修理を頼まれることも多く、レオ自身もギターやアンプに興味を持つとともに、持ち前の知識でそれらの問題点や改善方法を見つけては改良してみせるのだった。

やがて弦の振動を拾うピックアップやアンプなどを自分で製作するようになり、1944年にはソリッド・ボディのラップ・スティール・ギターの特許を取得して販売し始める。

1946年には社名を「フェンダー・エレクトリック・インストゥルメント製造会社」に改め、本格的にギターやアンプの製造に取り掛かる。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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そして1950年、今なお多くのギタリストに愛用されているテレキャスターの販売を開始した。当初はレオが好きだったラジオからとって「ブロードキャスター」という名前だったが、同じ名前のドラムがあることが分かり、テレビから名前を借りてテレキャスターに改名した。

テレキャスターは、当時まだ一般的ではなかったソリッド・ボディ(中がアコギのように空洞になっていないボディ)を採用しているほか、革新的なアイデアが数多く盛り込まれていた。

他のエレキギターとは一線を画したその斬新なギターに、懐疑的な声を上げる者も少なくなかったが、音の良さはもちろん、優れたメンテナンス性やチューニングのしやすさなどで評判を呼び、すぐにフェンダー社の主力商品となる。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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そしてテレキャスターの普及により、ギブソン社など他のギターメーカーもソリッド・ボディのギターに本格的に着手し始める。

テレキャスターとレオ・フェンダーは、今日では当たり前となったソリッド・ボディのギターを定着させた立役者なのだ。

1954年にはストラトキャスターを販売するなど、その後も次々と画期的な楽器を生み出していったレオ・フェンダーだが、その生涯は1991年の3月21日に幕を閉じる。

亡くなる直前まで新しいギターの開発に取り組んでいたというレオは、妻にこう残したという。

「私が世界中のアーティストにしてあげられることは全部やりきったよ」

文/佐藤輝 編集/TAP the POP