年収200万円48歳の漫画家が婚活スタート

ただし、この数字を見ると、申し込み数と登録者数の間には大きな差がある。マッチングシステムの利用には、オンライン面談や各種書類の提出、利用料の支払いなどいくつかの手続きが必要になるためだ。

「申し込みだけして、少し様子を見てみようという方もいらっしゃいますし、面談を受けてみてから考えようという方もいます。ただ、活動していなかった人が“まず申し込んでみる”という一歩を踏み出しているという意味では、一定の役割は果たせているのではないかと思っています」

またこのマッチングシステムの特徴は、経験豊富なスタッフがオンラインで婚活の悩みや相談に応じてくれることだ。

「多いのは“どう進めたらいいのか”という相談です。実際に会うときに何に気をつければいいかとか、どういうふうに次のステップに進めていけばいいか、といったご質問が多いですね」

服装について相談されることもあるという。恋愛そのものというよりも、「どうやって関係を進めればいいのか」という手順に悩む人が多いというわけだ。

こうした状況は、婚活の現場を描いた作品からも見えてくる。漫画家の中川学氏は、自身の婚活体験をもとにしたコミックエッセイ『独りで死ぬのはイヤだ』で、年収200万円・48歳という立場から婚活に挑んだ過程を描いている。

『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』(著:中川学)
『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』(著:中川学)

マッチングアプリや街コン、お見合い企画など、さまざまな方法で出会いを探していくが、そこには年齢や収入への不安、コミュニケーションの難しさ、相手を本当に好きになれるのかなど、現実的な壁が次々と現れる。

漫画家・中川学氏
漫画家・中川学氏
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こうして見ていくと、現代の結婚の難しさは単純に「出会いがない」という問題だけでは説明できないことがわかる。

出会いの場は存在する。マッチングアプリもある。自治体の支援事業もある。実際に出会い、交際に発展するケースも少なくない。それでも、その先に進むことは簡単ではない。

むしろ、マッチングアプリなどで出会いの機会が増えたことで、選択肢が広がるがゆえに「ほかにもいい人がいるのではないか」と迷ってしまう側面もあるのかもしれない。SNSには理想的な恋愛や結婚の成功体験があふれている。

現代人の婚活のハードルは今、「出会いがない」という問題から、その先へどう進むかという次のフェーズへと移りつつあるのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部