「子どもはまだ堕ろせるやろ」「結婚もせず子どもを作るあんたも悪い」

「その後、奥さんが『塾に子どもを迎えに行く』と言って一度車を離れ、Aも友達の家に行ってしまった。Aの車にひとり取り残されたとき、視界に池が見えて『ここで死ぬしかない』と思いました。

でもいざ池の岸に立つと両親の顔を思い出し、子どもを殺すことになると思うと足が震えました。ただひとり泣いて呆然と立っていました」

そんな園田さんに対し、戻ってきたAは「そこは浅くて死ねないよ」と言い放った。さらに「俺は、もうどっちとおっても幸せになれん」とも。そして送迎を終えたAの妻も車に戻るなり吐き捨てるようにこう話したという。

「すみませんけど、夫とは普通に一昨日も体の関係もありましたけど?」

Aから「お金の援助はできない」と突き放されたという(写真/園田さん提供)
Aから「お金の援助はできない」と突き放されたという(写真/園田さん提供)

問題はこれだけではない。

「翌日、Aには私の両親にもことの経緯を話してもらいました。Aは土下座しましたが、母から『私らでなく晶子に謝って』と言われ、初めてAは私に謝りました。後日、私の両親も含めAの両親と話し合いに行きましたが、『子どもはまだ堕ろせるやろ』とか『そもそも結婚もせず子どもを作るあんたも悪い』と言われ、話になりませんでした」

Aの両親からさまざまな暴言を吐かれ、園田さんは精神的に不安定になってしまった。

「朝から泣き喚いてイライラと不安のなかで過ごし、夜も眠れなくて、少し眠れたとしても悪夢で目覚めて。食欲もなく妊娠中なのに3kgも痩せてしまいました。

変な強迫観念にも囚われて『Aの両親に子どもを殺される』とまで思ってしまった。見かねた母が精神科に連れて行ってくれて抗不安薬を処方されました」

サーフボードを持つA(写真/園田さん提供)
サーフボードを持つA(写真/園田さん提供)

この信じがたい事態に、Aはさらなる行動を取る。

園田さんに対し、弁護士を通して「Aへの職場や家への接見禁止」を申しつける内容証明を送りつけてきたのだ。園田さんは警察署に結婚詐欺で被害届を出せないか相談するも「お金を騙し取られたわけではないので刑事事件にはできない。民事裁判にしてみては」と言われてしまった。

その後、弁護士に依頼しAへの任意交渉をするも決裂。今後は訴訟を提起予定だ。

「出産を控えながらどこまでできるかわかりませんが、子どもができなかったらずっと騙されていたと思うので、子どもが知らせてくれたんだと思っています。相手がまともじゃなかったことが悔やまれます」

あまりにも理不尽な独身偽装の実態。Aは現在も県立病院で看護師として勤務している地方公務員だ。園田さんが「子どもは絶対に幸せにしたいです」と前を向いていることがなによりの救いだ。

取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班

抑うつ不安状態と診断された(写真/園田さん提供)
抑うつ不安状態と診断された(写真/園田さん提供)
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