母親を大号泣させたカミングアウト

「上京していろんな人と出会って、改めて母親の苦労がわかったんです。だから、自分が男性を好きだと伝えたら親不孝なんじゃないかって思ってしまって、ずっと母には内緒にしていました。その気持ちを抱えたまま、どうしていいかわからない時間が続いていました」

テレビ出演当初は女装もしておらず、ゆしんを紹介するテロップには“??キャラタレント”と書かれており、完全なオネエではなく曖昧な立ち位置だった。

「お母さんに、『周りから、テレビ出てるわよって言われたけど、あのキャラはどういうこと?』と聞かれた時には、あれはああいうキャラクターを演じてるだけだよって。長い間、本当のことは言えなかったですね」

しかし、転機となったのは日本テレビのバラエティー番組『深イイ話』だった。

「それまで実家に帰る時は、わざわざ男性の格好をしてネイルも外していたんですが、お母さんに女装姿で会いにいくというドッキリ企画で本当にアポ無しで行ったら、お母さんと再婚したパートナーとお姉ちゃんが家にいて。

突然カメラが回っているわけですから、家族はみんな驚いていたんですが、その時初めてお母さんに”男性が好き”ということを伝えたんです。実は『わかってたわ』という反応がくるかと思いきや、まさかの号泣されてしまって。

全く想像と違う反応に、わたしも涙がでてきてしまって、『おかん、孫なんていらんわと言うてたやん』と言ったら、『孫の顔、見たいに決まってるやん!』と言われて…。私、お母さんの気持ちを全然わかってなかったんです」

ゆしん一家
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その後30分の沈黙の時間を経て、母の口から「親は親やし、子は子やからな。あんたが幸せならそれでええわ」という言葉が出た瞬間、涙が止まらなかったという。

「この時は周りのスタッフさんもみんな、大泣きしていました。あまりにも大泣きしてしまったので、スタッフさんから『これは、バラエティーとして放送するのは勿体無いから』と、企画はお蔵入りになるほどでした。

次の日母親に、『ごめん、テレビやからキャラ作ってもうたわ』とウソをついたら、『あんた、お詫びに旅行にでも連れて行きなさい!』と言われました。

だけどその後に姉から、『どれだけお母さんが”息子がオカマ”と言われてるか知らないでしょ、あなたが芸能界にいるのは勝手だけど、家族を巻き込まないで』と、メールが来ていて、その言葉がグサっとささってしまって。

でもその後は、テレビに出続けることで、サイン欲しい人がいる、と家族に頼まれることも増えて、お母さんも少しずつ受け入れてくれるようになって。今では、あんたは息子か娘どっちなの?とネタにされています(笑)」

(後編に続く)

取材・文/佐藤ちひろ