物語と説明文は、使い分けが大切
物語読書の有用性を強調する話が続きました。しかし、物語と説明文は、どちらかが形式としてより優れている、というものではありません。
純粋に知識として「幅広い事柄」を知りたい場合には、明らかに説明文のほうが効率的でしょう。だから学校のさまざまな科目の教科書は説明文が多いのです。
また、物語による理解は、どうしても登場人物の視点や価値観に影響されてしまいます。そうした特定の視点や価値観を持たずに理解することが、広い応用可能性につながる場合もあります。
大学で学ぶ抽象的で複雑な内容などは、その例でしょう。
両方の形式を使うのも有効です。
例えば、歴史の内容を教科書(説明文)で学んだあと、歴史小説(物語)を読んでみることで、その時代のことを「事実」と「実感」の双方で理解することができます。
説明文が多いながらも、物語調で歴史を学ばせてくれる「マンガ世界の歴史」といったものも各社から出版されていますね。
物語と説明文は、互いに補完的なものであり、あるときは説明文のほうがいい、別のときは物語のほうがいい、というように、使い分けることが大切だといえます。
*1 犬塚美輪.(2025). 読めば分かるは当たり前?―読解力の認知心理学. 筑摩書房.
*2 柳瀬陽介.(2018).なぜ物語は実践研究にとって重要なのか:読者・利用者による一般化可能性. 言語文化教育研究, 16, 12-32.
*3 Koopman, E. M. E.(2015). Empathic reactions after reading: The role of genre,
personal factors and affective responses. Poetics, 50, 62-79.
文/猪原敬介













